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訪問介護・訪問看護の労務管理とは?効率化する方法も紹介

2023.09.15
訪問介護・訪問看護の労務管理とは?効率化する方法も紹介

大阪を中心に介護・福祉事業の起業を考えている方、すでに開業している方向けのサポートを行っている、アステージ社労士・行政書士事務所です。


訪問介護や訪問看護事業所を運営するにあたって必須となるのが、労務管理です。しかし、そもそも労務管理とはどのようなものを指すのか、わからない方も多いのではないでしょうか。


そこで本記事では、訪問介護・訪問看護の労務管理について、チェックしておきたいポイントや効率化する方法と一緒に紹介します。

訪問介護・訪問看護の労務管理とは?主な目的と求められる視点

労務管理とは、働くスタッフの賃金・労働時間といった労働条件・安全衛生・福利厚生などを管理することです。訪問介護や訪問看護だけでなく、あらゆる業種や職場にて求められます。


まずは、労務管理の主な目的と求められる視点を見ていきましょう。

労務管理の目的

労務管理の大きな目的は、生産性の向上です。


主な経営資源として人材やお金、情報、知的財産などが挙げられますが、訪問介護・訪問看護において特に優先順位の高いものが人材(スタッフ)といえます。スタッフが利用者へ直接サービスを提供する訪問介護・訪問看護では、介護スタッフや看護師といった人材の量・質がサービスの質へ大きく影響するためです。


適切な労務管理によってスタッフが長く働き続けられる労働環境が生まれ、その結果、生産性がアップします。

労務管理に求められる視点

労務管理をするにあたっては、労働基準法・労働契約法・最低賃金法といった、いわゆる労働法に関する知識が欠かせません。


また関連する各種法律だけでなく、ライフスタイルや働き方の変化、高齢化といった時代や職場ごとの状況に合わせて、労働環境や業務の改善を進めていく視点も求められるでしょう。

訪問介護・訪問看護における労務管理のチェックポイント

訪問介護・訪問看護で労務管理をする上では、いくつか注意しておきたい点があります。全部で5つのチェックポイントを紹介します。

変則勤務での労働時間と賃金を管理する

24時間対応している訪問介護・訪問看護では、スタッフは夜勤を含む変則的な勤務を求められます。訪問看護では、オンコール体制を導入しているところもあるでしょう。


スタッフ一人ひとりの労働時間を適切に管理するほか、特に22時~5時までの深夜労働では、25%以上の割増賃金を支払う必要がある点に注意してください。


また変則勤務や夜勤では不規則な生活となることから、日勤ベースの職場と比べて健康リスクが発生しやすい特徴があります。健康診断の結果によっては産業医面談を勧めるほか、負担を軽減するシフト管理などが必要です。

サービスのキャンセル時も賃金支払いの対象となる

利用者の急な体調不良などが原因で、サービスがキャンセルになったり、予定変更になったりするケースは珍しくないことです。スタッフに働く意思があっても休んでもらった場合、未払い賃金が発生する可能性があります。


他の利用者宅へサービス提供に行ってもらうなど、代替業務の提供が難しい場合は休業手当の対象となり、平均賃金の60%以上を支払わなければいけません。


参考:厚生労働省「休業手当について

雇用契約書を交わす

雇用契約書とは、労働者と使用者との雇用契約を交わしたものです。労働条件通知書と似ていますが、労働条件通知書は労働条件を示した書面のことで、労働基準法に規定されています。


雇用契約書の作成自体は義務ではないものの、一般的には労働条件についても記載されているため、労働条件通知書としての役割を持っています。


訪問介護・訪問看護では、事業所へ足を運ばない直行直帰をとっているところが少なくありません。そのた、め、管理者がスタッフの労働時間や移動時間を正しく把握できず、直接確認できないトラブルが起こる可能性があるでしょう。


労働契約期間や就業場所といった絶対的明示事項のほか、パートタイムのスタッフに対しては昇給・退職手当・賞与・残業の有無についても記載した上で、雇用契約書を交わしておくと安心です。

利用者宅間の移動時間も賃金が発生する

利用者宅間の移動時間は、スタッフが自由に使える時間ではないため賃金が発生します。


ただし、移動時間とは別に業務指示に従う必要がない時間がある場合、賃金発生の対象となるのは移動時間のみです。


参考:厚生労働省労働基準局「訪問介護労働者の法定労働条件の確保のために

登録ヘルパーにも年次有給休暇がある

登録ヘルパーといった所定労働日数が少ないスタッフにも、以下のように年次有給休暇が発生する点に注意が必要です。

週所定労働時間

週所定労働日数

1年間の所定労働日数

勤続年数ごとの年次有給休暇の付与日数

6カ月

1年6カ月

2年6カ月

3年6カ月

4年6カ月

5年6カ月

6年6カ月以上

30時間以上

5日以上

217日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

30時間未満

5日以上

217日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

4日

169日~216

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

3日

121日~168

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

2日

73日~120

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日

48日~72

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

 

今後1年間で予定されている所定労働日数と勤続年数によって、年次有給休暇の付与日数が変わり、比例付与と呼ばれています。


参考:厚生労働省労働基準局「訪問介護労働者の法定労働条件の確保のために

訪問介護・訪問看護の労務管理を効率化する方法

スタッフが働きやすい職場環境をつくり、生産性のアップに欠かせない労務管理ですが、できればより効率的に行いたいと思っている方も多いことでしょう。


最後に訪問介護・訪問看護の労務管理を効率化する方法を、2つ紹介します。

ITツールを活用する

給与計算や勤怠管理などができるITツールを活用すると、効率的な労務管理に役立ちます。ただし、事業所の業務と相性が合ったツールを導入する必要があるため、たくさんある製品の中から適したものを選ぶのは、時間と労力がかかるかもしれません。


またクラウド型ツールを導入する場合は、セキュリティ対策が必須です。ネットワーク環境に脆弱性があると第三者からの攻撃を受ける可能性が生じるため、ITやセキュリティに詳しいスタッフが求められるでしょう。

社会保険労務士へ依頼する

社会保険労務士は労働法を熟知し、給与計算や社会保険の手続き代行といった、労務管理のサポートが可能です。専門的な知識に即してサポートするため、安心して業務を任せられます。


また煩雑な労務管理をお願いすることで、訪問介護・訪問看護の本来の業務に集中できるメリットが生まれるでしょう。


社会保険労務士に依頼できる業務やメリットについては、下記の記事をご参照ください。
介護・福祉に強い社労士の見分け方とは?依頼するメリットや相談できること

まとめ

訪問介護や訪問看護事業所を上手に運営していくためには、適切な労務管理が欠かせません。労務管理によってスタッフが働きやすい職場環境ができると、比例してサービスの質も向上します。


変則勤務における労働時間と賃金の管理、キャンセル時の賃金支払い、移動時間の賃金発生などは、特に訪問介護・訪問看護で注意する必要がある労務管理のポイントです。


アステージ社労士・行政書士事務所では、訪問介護や訪問看護事業所における労務管理のご相談やサポートに応じております。活用可能な助成金のご提案や申請代行にも対応できるため、ぜひお気軽にご相談ください。

執筆者情報

佐藤壱磨
事務所名:アステージ社労士・行政書士事務所
所属等:日本行政書士会連合会/全国社会保険労務士会連合会/大阪府行政書士会/大阪府社会保険労務士会/大阪商工会議所会員
【代表メッセージ】
「介護事業開業サポートセンター」では、これから介護・福祉事業をスタートされる方および既に開業されている方の為に必要な手続きをトータルでサポートしております。
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