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処遇改善加算とは?最新の加算要件や計算方法、取得の際の注意点

処遇改善加算とは?最新の加算要件や計算方法、取得の際の注意点

処遇改善加算は、介護職員等の待遇や職場環境を改善するために、介護・障害福祉事業所へ支給される手当です。加算によって各施設の収益やスタッフの待遇にも影響を与えるため、対象となる施設は取得の手続きを行うことが望ましいとされています。

しかし、手続きや算定方法が複雑なことから、加算を取得していても一部のみだったり、区分が低いままという事業所も多いのではないでしょうか。また、すでに加算を取得している施設であっても、常に最新情報を把握し適切に対応する必要があります。

本ページでは、処遇改善加算の概要を分かりやすく解説し、一本化された加算区分の内容や、取得する際の注意点についてもご紹介します。

これから処遇改善加算を新たに取得したい事業所の方や、最新の加算内容のポイントを理解したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

処遇改善加算とは?簡単に説明

処遇改善加算とは、介護職員のキャリアアップや職場環境の改善を行っている介護・障害福祉事業所に対して、国が支援金を提供し、その恩恵を介護スタッフに還元する仕組みです。

ひと言でいうと、「介護職員の給与や労働環境を向上させるために、厚生労働省によって設けられた制度」といえます。

厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」によると、介護職員処遇改善加算を受け取っている事業所は94.5%であり、受け取っていない事業所は5.5%となっています。

この取り組みにより、2022年介護職員の平均給与額の状況は、前年と比べて保有資格に関係なく給与が増加しており、全体で17,490円増加しています。

処遇改善加算制度の成り立ちと経緯

処遇改善加算制度の成り立ちは、2009年に「介護職員処遇改善交付金」が導入され、処遇改善のための措置として介護報酬に追加されたことからスタートしました。

その後、2012年に「介護職員処遇改善加算」へ移行。2019年に「介護職員等特定処遇改善加算」が、2022年には「介護職員等ベースアップ等支援加算」の加算が導入されました。

2024年の最新の介護報酬改定では、これら3つの加算を統合する形で、新たに「介護職員等処遇改善加算」が始まります。

2024年度(令和6年度)介護職員等処遇改善加算の要項

介護報酬は3年に一度大きな改定が行われ、2024年はその年にあたります。

ここでは、2024年度(令和6年度)から新たに始まる「介護職員等処遇改善加算(新加算)」の以下の内容について、現行の制度(2024年5月まで)との違いもあわせて解説します。

  • 対象職種
  • 加算区分
  • 算定要件
  • 加算率

なお、新加算の導入では、事業者の事務負担を考慮し、2024年度中は経過措置期間が設けられています。

対象職種

現行(2024年5月まで)の処遇改善加算では、特定処遇改善加算など一部の加算を除いては、介護職員のみが支給対象とされていました。しかし、2024年度の介護職員等処遇改善加算では、介護職員を中心にその他の職種も加算の対象となることが明示されました。

特に、経験や技能のある職員に優先的に支給されることが想定されていますが、事業所内で柔軟な支給の配分が認められています。

加算区分

現行(2024年5月まで)の処遇改善加算には、「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」という3つの種類があります。処遇改善加算はさらに区分がⅠからⅢまであり、特定処遇改善加算は区分がⅠとⅡに分かれています。そのため、これら3つの加算を組み合わせて取得する必要があり、算定が複雑であることが課題視されていました。

しかし、2024年6月以降はこれらの加算が統合され、「介護職員等処遇改善加算(新加算)」として一本化されます。

新加算では、ⅠからⅣまでの4つの区分から選択できるようになります。

3つの処遇改善加算は一本化される

算定要件

2024年6月施行の「介護職員等処遇改善加算(新加算)」の算定要件は、以下の通りです。

新加算の加算区分

おもな要件

新加算(Ⅳ)

・新加算(Ⅳ)の2分の1(6.2%)以上を月額賃金配分
・職場環境の改善(職場環境等要件)
・賃金体系等の整備・研修の実施等

新加算(Ⅲ)

・新加算(Ⅳ)の要件に加え、以下を満たす
・キャリアパス要件Ⅰの定期昇給要件
・勤続年数、資格、評価の3つのいずれか1つもしくは複数の組み合わせにより昇給させる

新加算(Ⅱ)

・新加算(Ⅲ)の要件に加え、以下を満たす
・職場環境のさらなる改善・見える化
・改善後に年間440万円以上になる人が一人以上

新加算(Ⅰ)

・新加算(Ⅱ )の要件に加え、以下を満たす
・経験技能のある職員の一定割合以上の配置

新加算Ⅳから順に、要件を満たすごとに新加算Ⅰへと進む仕組みです。新加算Ⅳの目的は、「介護職員の基本的な待遇改善やベースアップの支援」となっており、新加算Ⅳをクリアしなければ、その後のⅢ~Ⅰの加算も受けられません。

そのため、まずは新加算Ⅳを達成することが不可欠となります。

各要件の詳細や、現行の処遇改善加算からの変更点を詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

関連記事:2024年度(令和6年度)介護報酬改定|処遇改善加算の変更点や加算率、算定要件まとめ

加算率

介護職員等処遇改善加算の加算率は、サービスごとに異なります。2024年度介護職員等処遇改善加算のサービス別加算率は、以下の通りです。

サービス区分

新加算Ⅰ

新加算Ⅱ

新加算Ⅲ

新加算Ⅳ

・訪問介護
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護

24.5%

22.4%

18.2%

14.5%

・(介護予防)訪問入浴介護

10.0%

9.4%

7.9%

6.3%

・通所介護
・地域密着型通所介護

9.2%

9.0%

8.0%

6.4%

・(介護予防)通所リハビリテーション

8.6%

8.3%

6.6%

5.3%

・(介護予防)特定施設入居者生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護

12.8%

12.2%

11.0%

8.8%

・(介護予防)認知症対応型通所介護

18.1%

17.4%

15.0%

12.2%

・(介護予防)小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護

14.9%

14.6%

13.4%

10.6%

・(介護予防)認知症対応型共同生活介護

18.6%

17.8%

15.5%

12.5%

・介護福祉施設サービス
・地域密着型介護老人福祉施設
・(介護予防)短期入所生活介護

14.0%

13.6%

11.3%

9.0%

・介護保健施設サービス
・(介護予防)短期入所療養介護(老健)

7.5%

7.1%

5.4%

4.4%

・(介護予防)短期入所療養介護(病院等(老健外))
・介護医療院サービス
・(介護予防)短期入所療養介護(医療院)

5.1%

4.7%

3.6%

2.9%

出典:厚生労働省|処遇改善に係る加算全体のイメージ(令和4年度改定後)

なお、2024年6月~2024年度内の経過措置期間中は、介護職員等処遇改善加算Ⅴを適用できます。介護職員等処遇改善加算Ⅴの加算率については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

関連記事:2024年度(令和6年度)介護報酬改定|処遇改善加算の変更点や加算率、算定要件まとめ

処遇改善加算の計算方法

処遇改善加算は、固定金額ではなく、給付掛け率(パーセント)によって算出された金額が支給されます。

具体的な計算方法は、次の通りです。

処遇改善加算:(基本報酬 + 加算報酬 - 減算報酬)× 業種別の給付掛け率

基本報酬は、介護サービスの種類や内容・提供時間・利用者の要介護度などに基づく単位数です。加算や減算は、特定の条件を満たした場合または満たしていない場合に、基本報酬に追加または差し引かれる報酬です。

【計算例】

例えば、1時間の訪問介護を利用した場合、訪問介護事業者は「579単位」の介護報酬を得ることができます。

仮に、加算・減算がなく、新加算Ⅳを取得している事業所の場合、給付掛け率は「14.5%」であるため、以下の計算式となります。

処遇改善加算:579単位 × 14.5% = 83単位

地域ごとの区分やサービスごとの人件費によって調整されることもありますが、1単位の単価は基本的には10円であり、総支給額は以下のように計算できます。

合計単位数:579(基本報酬の単位) + 83(処遇改善の単位) = 662単位

仮に10円として計算すると、

支給額:662単位 × 10円 = 6,620円

処遇改善加算を取得する際の注意点

処遇改善加算を取得する際には、いくつか注意点があります。ここでは、次の4つの注意点とその対策について解説します。

  • 毎年度、計画書と実績報告書を提出する必要がある
  • 従業員への配分額が、処遇改善加算の受取額を上回らなければならない
  • キャリアパス要件を満たす必要がある
  • ベア加算を算定していない場合は、算定基準を満たす必要がある

毎年度、計画書と実績報告書を提出する必要がある

基本的な内容となりますが、処遇改善加算は毎年度、計画書と実績報告書を提出する必要があります。介護・障害福祉分野では、年度は「4月1日~3月31日まで」とされています。

そのため、4月から処遇改善加算を受けたい事業所は、その前の2月末頃までに計画書を提出する必要があります。また、実績報告書は、年度終了後の3月31日から4カ月以内の7月31日頃が提出期限となります。各書類の提出期限は、自治体により異なるため、詳細は各都道府県の情報を確認するようにしましょう。

従業員への配分額が、処遇改善加算の受取額を上回らなければならない

従業員への配分額は、処遇改善加算の受取額を上回ることが前提となり、こちらも処遇改善加算の根本的な考え方です。

例えば、年度ごとに60万円の処遇改善加算を受ける見込みの場合、少なくとも60万円以上を対象職種の従業員に支給する必要があります。なお、新加算(Ⅳ)の2分の1(6.2%)以上を月額賃金配分を満たした上で、配分は月々の給与やボーナスなど一時金・各種手当というように支給方法はある程度、会社が柔軟に決めることができます。

キャリアパス要件を満たす必要がある

処遇改善加算を取得する際の注意点として、上記の基本的な注意点とあわせて、2024年度からはキャリアパス要件を満たすことが求められます。

具体的には、下記のように、新加算Ⅰ~Ⅳにそれぞれ対応する「キャリアパス要件」を満たす必要があります。

キャリアパス要件を満たす必要がある

引用:「処遇改善加算」の制度が一本化(介護職員等処遇改善加算)|厚生労働省 資料

キャリアパス要件はⅠ~Ⅴまであり、Ⅰ~Ⅲは根拠規程を書面で整備し、すべての介護職員に周知することが必須となります。

  • キャリアパス要件Ⅰ:任用要件や賃金体系に関する要件
  • キャリアパス要件Ⅱ:研修の実施などに関する要件
  • キャリアパス要件Ⅲ:昇給の仕組みに関する要件
  • キャリアパス要件Ⅳ:改善後の賃金額に関する要件
  • キャリアパス要件Ⅴ:介護福祉士などの職員配置に関する要件

ベア加算を算定していない場合は、算定基準を満たす必要がある

新加算の基本ルールでは、Ⅰ~Ⅳのすべての区分で「介護職員等ベースアップ等支援加算(ベア加算)」の取得が条件となります。

新加算Ⅳでは、「新加算Ⅳの加算額の2分の1(6.2%)以上を月額賃金の改善に充てる」という要件があり、これに加え、従前よりベア加算を取得していた事業所との公平性の観点から、「その3分の2相当を月額賃金により改善する」ことが求められます。

そのため、ベア加算を算定していない場合は、まずはベア加算を取得した上で、算定基準を満たすための対策を講じる必要があります。

介護職員等処遇改善加算の取得サポート

処遇改善加算の計画届や実績報告書の適切な作成には、労務関連の専門知識と介護・障害福祉分野に関する専門知識が求められます。

介護事業開業サポートセンターでは、経験豊富な社会保険労務士による処遇改善加算の取得サポートや、申請書類作成・代行を承っております。

まとめ

処遇改善加算は、介護職員等の待遇や職場環境を向上させるための加算制度です。取得の有無によって、施設の収入やスタッフの待遇に影響を与えるため、対象となる介護・障害福祉事業所は、取得に向けた対応を進めましょう。

なお、介護報酬はほぼ毎年変更が行われるため、すでに加算を取得している施設でも最新情報を収集し、適切に対応する必要があります。

アステージ社労士・行政書士事務所の「介護事業開業サポートセンター」では、経験豊富な社会保険労務士が、申請書類の作成代行などの取得サポートを行っております。

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