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訪問介護の運営基準とは?概要や基準を満たすための対策を解説

2024.01.18
訪問介護の運営基準とは?概要や基準を満たすための対策を解説

訪問介護事業の開業・運営では、介護保険法に基づく運営基準を遵守する必要があります。運営基準には、サービス提供に必要な書類の作成や利用者とその家族への説明などが含まれ、基準に従わない場合、行政から指導を受けるおそれがあるため、適切に対応することが重要です。

この記事では、訪問介護の運営基準の概要と守るべき事項、基準を満たすための対策をわかりやすく解説します。

訪問介護の運営基準とは

訪問介護の運営基準とは、訪問介護事業を開始における必要な事項や遵守すべきルールを、省令によって定めたものです。

介護保険法の「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」の、「運営に関する基準」第八条~第三十九条に明記されています。

訪問介護の3つの指定基準(運営基準・人員基準・設備基準)について

訪問介護事業を開業・運営する場合、運営基準・人員基準・設備基準の3つの指定基準を遵守することが求められます

人員基準では、訪問介護サービス提供に必要な職種・資格・配置基準などが定められており、設備基準では必要な設備や備品について記されています。

運営基準はサービス提供と事業所の機能に関する基準であり、指定基準の中でも多岐にわたる項目を含みます。

実地指導などで運営基準の違反が認められた場合、指導を受ける可能性があるため、内容を理解し遵守することが重要です。

訪問介護の運営基準で定められている事項(第八条~第三十九条)

訪問介護の運営基準として定められている事項について、主な内容を以下にまとめました。

【第八条】利用者や家族に対して、運営規定の概要や必要事項を含む重要事項説明書を説明・交付し、同意を得ること
【第九条】正当な理由なく、訪問介護の提供を拒否することは許されないものとする
【第十条】サービス提供が難しい場合は、居宅介護支援事業者に連絡し、他の訪問介護事業所の紹介など必要な措置を講じること
【第十一条】被保険者証で資格や認定の有無・有効期間を確認すること
【第十二条】利用者の意思を踏まえ、要介護認定の申請に必要な協力を行うこと
【第十三条】担当者会議で利用者の心身の状況や保健医療・福祉サービスの利用状況を把握すること
【第十四条】居宅介護支援事業者や関連サービス提供者と連携を図ること
【第十五条】利用者に法定代理受領の説明を行い、必要な援助を提供すること
【第十六条】居宅介護サービス計画に基づき、訪問介護の提供を行うこと
【第十七条】計画変更時の連絡を行うこと
【第十八条】訪問介護員は身分を証明する書類を携行し、必要に応じて提示すること
【第十九条】提供したサービスの日付・内容・利用者の居宅サービス計画を書面に記載すること
【第二十条】利用者からの支払いに関して定められた手続きを行うこと
【第二十一条】法定代理受領サービスに該当しない場合、利用者にサービス提供証明書を交付すること
【第二十二条】サービス目標の設定と利用者の要介護状態の軽減や悪化の防止に資するよう計画的にサービスを提供する
【第二十三条】利用者の状況や環境を把握し、丁寧な説明と適切な介護技術を用いて、必要な相談と助言を行うこと
【第二十四条】サービス提供責任者は利用者の状況と希望を踏まえ、訪問介護の目標と具体的なサービス計画を作成すること
【第二十五条】利用者の同居家族に対して訪問介護を行わないこと
【第二十六条】利用者が介護保険提供サービスの指示に従わない場合、市町村に通知すること
【第二十七条】サービス提供中に利用者の急変が生じた場合は医師に連絡し、事故が発生した場合は関係者に速やかに連絡すること
【第二十八条】管理者は事業所の従業員と業務の一元的な管理を行い、サービス提供責任者は指定業務を遂行すること
【第二十九条】事業の目的や方針、職員の職種・数、業務内容などに関する規定を定めること
【第三十条】安定したサービス提供のために従業員の勤務体制を確保すること
【第三十一条】訪問介護員の清潔保持と健康状態の管理を行うこと
【第三十二条】事業所内に重要事項や勤務体制に関する情報を見やすい場所に掲示すること
【第三十三条】利用者や家族の秘密を漏らさないよう従業者が気をつけること
【第三十四条】広告を行う場合、虚偽や誇大な内容を避けること
【第三十五条】居宅介護支援事業者への利益供与を禁止する
【第三十六条】利用者や家族からの苦情に対して速やかかつ適切に対応すること
【第三十七条】事故発生時には関係機関への連絡や必要な措置を講じ、状況と処置に関する記録を残し、賠償が必要な場合は速やかに行うこと。また、虐待防止のために委員会開催や指針整備、研修実施などの措置をとること
【第三十八条】訪問介護事業所ごとに経理を区分し、訪問介護事業と他の事業の会計を分けること
【第三十九条】諸記録、訪問介護計画、サービス提供記録、通知記録、事故や苦情の記録などを整備・保存すること

出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(◆平成11年03月31日厚生省令第37号) の内容を要約

訪問介護の運営基準を守るための対策

訪問介護事業所が運営基準違反とならないために行うべき対策を、下記の5つのポイントに絞って解説します。

  • 社内でコンプライアンスの意識を浸透させる
  • 業務フローを整備する
  • 定期的にサービス実施記録の内容をチェックする
  • 採用時の従業員の資格確認と証明書提出を徹底す
  • 虐待発見時の匿名通報仕組みを構築する

社内でコンプライアンスの意識を浸透させる

訪問介護の運営基準を守るためは、従業員や関係者が法令や運営基準を理解し、それに基づいて行動することが重要です。

具体的には、継続的な教育・トレーニングプログラムを導入することや、法令や基準の変更があった場合や新しいスタッフが加わった際に迅速に情報提供するなど、理解を深めるための工夫が求められます。

業務フローを整備する

明確で効率的な業務フローを整備することで、業務を行う際に法令や基準を逸脱するリスクが低減し、適切なサービス提供が可能になります

例えば、訪問介護サービスの提供から記録の作成、報告までの一連の流れを詳細にまとめたマニュアルを作成することも一つの方法です。

定期的にサービス実施記録の内容をチェックする

訪問介護の運営基準では、サービス実施記録が法令や基準に適合していることが求められます。サービス実施記録は、訪問介護員が提供したサービスの内容や利用者の状態を正確かつ詳細に記録したものであり、記録内容が正確でない場合、法令違反や基準違反のリスクが高まります

サービス実施記録が正しく機能しているかを確認するためにも、チェックリストやガイドラインを用意し、サービス実施記録の内容を検証するプロセスを整備するようにしましょう

この時、内部の担当者だけでなく、外部の専門家や監査機関による評価も取り入れることで、検証の精度を高めやすくなります。

採用時の従業員の資格確認と証明書提出を徹底す

訪問介護の運営基準の内容として、従業員に対する資格要件や証明書提出の義務が規定されています。

求人募集や選考プロセスの際には、明確な資格要件を提示することで、適正のある人材を採用しやすくなります。また、資格の有無やその他の条件は選考の際に厳格に審査し、必要な証明書の提出を徹底しましょう

虐待発見時の匿名通報仕組みを構築する

令和3年度介護報酬改定における運営基準の改正にて、「高齢者虐待防止の推進」が追加となりました。

虐待の早期発見と適切な対応を行うことは、運営基準の順守の側面だけでなく、利用者へ信頼性と安心感を提供する観点からも重要です。

虐待発見時の匿名通報の仕組みとして、ホットラインや専用の通報システムを活用することも効果的です。また、匿名通報が寄せられた場合の適切な対応手順も策定しておきましょう。

訪問介護の運営基準に違反するとどうなる?

訪問介護では、行政による定期的な実地指導(運営指導)が行われます。実地指導の際に改善が求められ、それに応じない場合や深刻な問題が継続すると、最終的には監査が行われ、事業者指定が取り消されるおそれもあります

日頃から実地指導への対策に取り組み、着実な改善努力を行うことが重要です。

まとめ

訪問介護における運営基準の順守は、事業者として適切な運営を行い、利用者が安心してサービスを受けられるようにするために大切なことです。実地指導などで基準違反が指摘されないよう、基準を守るための仕組みや体制を整え、サービス提供や書類の定期的な点検を行うように心がけましょう。

アステージ社労士・行政書士事務所の「介護事業開業サポートセンター」では、訪問介護事業の開業・運営をトータルサポートしております。開業手続きや規則策定、給与計算の代行なども行っておりますので、訪問介護事業に関するお悩みがある方はお気軽にご相談ください。

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執筆者情報

佐藤壱磨
佐藤壱磨
事務所名:アステージ社労士・行政書士事務所
所属等:日本行政書士会連合会/全国社会保険労務士会連合会/大阪府行政書士会/大阪府社会保険労務士会/大阪商工会議所会員
【代表メッセージ】
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