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2024年度(令和6年度)訪問看護の介護報酬改定のポイントをわかりやすく解説

2024.05.22
2024年度(令和6年度)訪問看護の介護報酬改定のポイントをわかりやすく解説

2024年度(令和6年度)の訪問看護の介護報酬改定では、基本報酬の見直しに伴う単位数の増加やベースアップ評価料制度の導入、専門性の高い事業所への加算の追加などが行われます。

さらに、リハビリテーション職による訪問看護の減算やBCP(業務継続計画)未実施による減算の新設など、さまざまな改定があります。改定は診療報酬改定に合わせて、6月1日から適用されます。

本記事では、2024年度(令和6年度)訪問看護の介護報酬改定のポイントと加算・減算の変更点を、わかりやすく解説します。

2024年度(令和6年度)訪問看護の介護報酬改定のポイント

まずは、2024年度の訪問看護における介護報酬改定のポイントを、大きく次の3つに分けて解説します。

  • 基本報酬の改定
  • ベースアップ評価料制度の新設
  • 加算・減算等の変更

基本報酬の改定

2024年度の介護報酬改定では、訪問看護の基本報酬について以下のような改定が行われました。

【指定訪問看護ステーションの場合】

分類

現行

改定後

増減数

20分未満

313単位

314単位

+1単位

30分未満

470単位

471単位

+1単位

30分以上1時間未満

821単位

823単位

+2単位

1時間以上1時間30分未満

1,125単位

1,128単位

+3単位

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問の場合

293単位

294単位

+1単位

指定訪問看護ステーションでは、1~3単位の単位数アップとなりました。

ベースアップ評価料制度の新設

2024年6月1日より、訪問看護に従事する職員の賃金改善を目的とした給付制度である「ベースアップ評価料(Ⅰ)(Ⅱ)」が導入されます。

詳細は以下の通りです。

訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)

780円(月1回)

訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)

下記の式の【C】の数値が該当する区分を届出

ベースアップ評価料制度の新設

引用:令和6年度診療報酬改定の概要 【賃上げ・基本料等の引き上げ】 厚生労働省保険局医療課

 

【訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分】

【C】

訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分

金額

0を超える

訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)1

10円

15以上

訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)2

20円

95以上

訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)10

100円

125以上

訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)11

150円

475以上

訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)18

500円

ベースアップ評価料は、3カ月ごと(3月、6月、9月、12月)に算出し、区分に変更がある場合は地方厚生局長等に届出を行う必要があります。

加算・減算等の変更

2024年度の訪問看護の介護報酬改定では、基本報酬の改定とベースアップ評価料制度の新設のほかに、加算・減算の新設や見直しが行われました。詳しくは次章で解説します。

2024年度 訪問看護の介護報酬改定における加算・減算等の変更点

2024年度の訪問看護の介護報酬改定における加算・減算等の変更点について、次の10項目を確認していきましょう。

  1. 【新設】リハ職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)による訪問看護実施時の減算
  2. 【新設】専門管理加算
  3. 【新設】退院当日訪問時の初回加算(Ⅰ)
  4. 【新設】口腔連携強化加算
  5. 【新設】緊急時訪問看護加算(Ⅰ)
  6. 【新設】BCP(業務継続計画)未実施減算
  7. 【新設】遠隔死亡診断補助加算
  8. 【単位数アップ】ターミナルケア加算
  9. 【完全義務化】高齢者虐待防止措置未実施減算
  10. 【見直し】特別地域加算(過疎地域への対応)

【新設】リハ職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)による訪問看護実施時の減算

訪問看護における役割に基づくサービスの提供を促進する観点から、理学療法士などの訪問回数や特定の加算の有無に応じて、基本報酬の見直しや減算の対象が変更されました。

以下が、見直された算定要件です。

  • 前年度における理学療法士、作業療法士、または言語聴覚士による訪問回数が看護職員による訪問回数を超えること
  • 緊急時訪問看護加算、特別管理加算、看護体制強化加算のいずれも算定されていないこと

【新設】リハ職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)による訪問看護実施時の減算

引用:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省 老健局

改定後は訪問看護・介護予防訪問看護の両方において、理学療法士、作業療法士、または言語聴覚士による訪問の場合に、1回につき8単位が所定単位数から減算されます。

【新設】専門管理加算

医療ニーズの高い利用者が増加するなか、より質の高い訪問看護を提供する目的から、専門性の高い看護師による計画的な管理を評価する専門管理加算が新設されました。

加算内容は、以下の通りです。

<現行>なし

<改定後>専門管理加算:250単位/月(新設)

【算定要件】

  • 指定訪問看護事業所の緩和ケア、褥瘡ケア、人工肛門ケア、人工膀胱ケアに関する専門の研修を受けた看護師が計画的な管理を行った場合に、所定単位数に加算される

【新設】退院当日訪問時の初回加算(Ⅰ)

要介護者の円滑な在宅移行を促進するため、訪問看護サービスの区分、算定要件、および単位数が見直されました。

具体的には、現行の初回加算が「退院当日の訪問に対する加算(Ⅰ)」と、「翌日以降の訪問に対する加算(Ⅱ)」に分類され、単位数に差が設けられます。

単位数は、以下の通りです。

<現行>300単位

<改定後>
・初回加算(Ⅰ):退院当日の訪問に対して350単位(新設)
・初回加算(Ⅱ):翌日以降の訪問に対して300単位(現行通り)

なお、初回加算を算定する場合、退院時共同指導加算は算定できません。また、退院時共同指導加算では文書提供の義務が撤廃され、2024年度の報酬改定で文書要件がなくなりました。

【新設】口腔連携強化加算

訪問系サービスおよび短期入所系サービスにおいて、利用者の口腔の状態を定期的に確認し、歯科専門職に適切な口腔管理を提供するための連携を強化するため、新たな加算が設けられました。

この加算では、介護職員などによる口腔衛生状態や口腔機能の評価の実施と利用者の同意のもとで、歯科医療機関および介護支援専門員への情報提供が評価されます。

単位数は、以下の通りです。

<現行>なし

<改定後>口腔連携強化加算:50単位/回(新設)

【算定要件】

  • 訪問看護事業所の従業者が利用者の口腔の健康状態の評価を行い、利用者の同意を得て、その評価結果を歯科医療機関や介護支援専門員に提供する場合、1月に1回まで所定単位数が加算される
  • 口腔の健康状態の評価を行うために、訪問看護事業所は、歯科医療機関の歯科医師や歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、従業者からの相談に対応する体制を確保し、その旨を文書等で取り決めていること

口腔連携強化加算を適用する際は、利用者の個人情報が関わるため、利用者本人の同意が必要である点には注意が必要です。

【新設】緊急時訪問看護加算(Ⅰ)

訪問看護サービスの24時間対応体制を強化するため、夜間の対応を担当する看護師などの勤務環境に配慮した評価区分が新設されます。

【訪問看護ステーションの場合】

<現行>574単位/月

<改定後>
緊急時訪問看護加算(Ⅰ)(新設):600単位/月
・緊急時訪問看護加算(Ⅱ):574単位/月

【算定要件】

  • 利用者やその家族から看護に関する相談があり、いつでも対応可能な体制が整っていること
  • 緊急時の訪問看護における負担を軽減し、十分な業務管理が行われていること

緊急時訪問看護加算(Ⅰ)では、①②の基準をすべて満たすこと、緊急時訪問看護加算(Ⅱ)では、①の条件を満たしていることが条件となります。

【新設】BCP(業務継続計画)未実施減算

BCP(業務継続計画)に関して、2024年3月以前は作成が努力義務とされていましたが、4月からは作成が完全義務化されます。BCPとは、事業所が災害や緊急事態に備えて事業継続を図るための計画です。

BCPを作成していない場合、基準違反とされ、さらに1年の経過措置期間を経て、2025年(令和7年)4月からは1%の減算が適用されます。

BCPへの対応がまだの方は、アステージ社労士・行政書士事務所の「介護事業開業サポートセンター」へご相談ください。

介護事業特化の専門家がBCP策定をサポート|介護事業開業サポートセンター

【新設】遠隔死亡診断補助加算

診療報酬との整合性を図る観点から、離島などに居住する利用者の死亡診断に関して、ターミナルケア加算が算定されることとなり、看護師が情報通信機器を使用して医師の死亡診断を補助した場合の加算が新設されます。

<現行>なし

<改定後>遠隔死亡診断補助加算:150単位/回(新設)

【算定要件】

  • 情報通信機器を使用した在宅での看取りに関する研修を受けた看護師が、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の死亡診断加算を算定する利用者(*)に対し、主治医の指示に基づき、情報通信機器を使用して医師の死亡診断を補助した場合に加算(*厚生労働大臣が指定する地域に居住する利用者に限る)

【単位数アップ】ターミナルケア加算

介護保険の訪問看護サービスにおけるターミナルケアの内容が医療保険のターミナルケアと同様であることを考慮し、評価の見直しが行われました。具体的には、症状管理・精神的サポート・生活支援・医療的ケア・看取りなどが含まれます。

訪問看護事業所におけるターミナルケア加算を現行は、2,000単位から2,500単位へと単位数がアップします。

<現行>ターミナルケア加算:2,000単位/死亡月

<改定後>ターミナルケア加算:2,500単位/死亡月

【完全義務化】高齢者虐待防止措置未実施減算

高齢者虐待防止措置に関しては、2024年3月以前は努力義務でしたが、4月からは完全義務化となります。

高齢者虐待防止措置が実施されていない場合、基準違反となり、1%の減算が適用されます。

具体的な要件は、以下の4点です。

  1. 対策検討委員会の定期的な開催と職員への周知徹底
  2. 虐待防止指針の整備
  3. 虐待防止研修の定期的な実施
  4. 虐待防止担当者の配置

【見直し】特別地域加算(過疎地域への対応)

現行の「特別地域加算」「中山間地域等の小規模事業所加算」「中山間地域に居住する者へのサービス提供加算」は、例えば離島や中山間地域などサービス提供が困難な地域に居住する利用者へのサービス提供や、事業所がその地域にある場合に算定できる加算制度です。

2024年度の報酬改定では、これらの地域に、「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」で規定される「過疎地域」が含まれることが明確化されました。

訪問看護の人員・設備・運営基準の改定

2024年度 訪問看護の介護報酬改定では、人員・設備・運営基準の改定も行われました。主な変更点として、次の4点について解説します。

  • 【明文化】身体的拘束等の適正化の推進
  • 【明文化】テレワークの取扱い
  • 【見直し】24時間対応体制の要件
  • 【見直し】人員配置基準における両立支援への配慮

【明文化】身体的拘束等の適正化の推進

身体的拘束の適正化を図る観点から、訪問看護においても利用者または他の人の生命や身体を保護するために、「緊急時ややむを得ない場合を除き、身体的拘束は行わないこと」と明文化されました。

やむを得ず身体的拘束を行う場合には、その方法・期間・利用者の状況・やむを得ない理由を記録することが義務付けられています。なお、これらの規定は運営基準に明記されていますが、2024年5月時点では報酬減算の対象とはされていません。

【明文化】テレワークの取扱い

人員配置基準で必要とされる職種について、「個人情報を適切に管理し、利用者への対応に支障が生じない」という条件のもと、テレワーク(在宅勤務)が認められることが明確化されました。

【見直し】24時間対応体制の要件

訪問看護における24時間対応体制について、看護師などが速やかに連絡を受けられる体制が確保されている場合、他の職員も利用者や家族からの電話連絡を受けられるよう、体制の要件が見直されました。

【見直し】人員配置基準における両立支援への配慮

介護現場における治療と仕事の両立が可能となる環境整備を進め、職員の離職防止と定着を促進する目的で、各サービスの人員配置基準や報酬算定の見直しが行われました。

具体的には、「常勤」として扱う条件として、育児・介護休業法による育児・介護休業のほかに、「治療と仕事の両立支援ガイドライン」に基づき事業者が設ける短時間勤務制度の利用も含まれることとなります。

また、「常勤換算方法」の計算において、職員が同ガイドラインに沿った短時間勤務制度を利用し、週30時間以上勤務する場合、その勤務時間も「常勤換算数:1」として扱われます。

まとめ

2024年度(令和6年度)の訪問看護の介護報酬改定では、基本報酬の見直しやベースアップ評価料制度の導入が行われ、さらに複数の加算・減算項目の新設・見直しが行われました。

訪問看事業者がこれらの変更に適切に対応するためには、介護・障害福祉分野に特化した専門家のサポートを受けることがおすすめです。

アステージ社労士・行政書士事務所の「介護事業開業サポートセンター」では、介護・障害福祉分野に専門特化した税理士・社労士・行政書士・司法書士が、介護事業での開業・運営のサポートを承っております。介護・障害福祉分野において専門知識を持つ税理士・社労士をお探しの方は、お気軽にお問い合わせください。

執筆者情報

佐藤壱磨
佐藤壱磨
事務所名:アステージ社労士・行政書士事務所
所属等:日本行政書士会連合会/全国社会保険労務士会連合会/大阪府行政書士会/大阪府社会保険労務士会/大阪商工会議所会員
【代表メッセージ】
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