介護障害福祉事業所の開業に向けた資金調達方法は?融資のポイントも解説
- 2023.07.26
大阪を中心に介護・福祉事業の起業を考えている方、すでに開業している方向けのサポートを行っている、アステージ社労士・行政書士事務所です。
新しく介護障害福祉事業所を開業する場合、当然のことながらまとまった額の資金が必要です。自己資金ですべてをカバーできるとよいですが、難しい方が多いのではないでしょうか。
本記事では、開業に向けた効果的な資金調達方法について紹介します。また金融機関から融資を受けるポイントも解説するため、ぜひ参考にしてください。
介護障害福祉事業所の開業に向けた主な資金調達方法
介護障害福祉事業所の開業に必要な資金を調達する方法は、いくつかあります。以下は資金調達方法の一例です。
自己資金
友人や家族からの出資
金融機関からの融資
民間投資家からの融資
助成金
クラウドファンディング
ファクタリング
冒頭でも述べたように、開業資金のすべてを自己資金でまかなえればよいですが、金額によっては難しいでしょう。自己資金以外の方法も用いて調達するのが一般的です。
ファクタリングは売上債権を早期に現金化できるサービスで、資金繰りの改善に役立ちます。介護報酬や障害福祉報酬は、請求してから入金までに通常2カ月ほどかかります。入金までの間にも家賃や人件費、物品購入費といった支出があり、事業所によっては資金ショートのリスクが生まれるでしょう。
ファクタリングを利用すると所定の手数料がかかりますが、2カ月を待たずに介護報酬や障害福祉報酬を現金化できます。
介護障害福祉事業所の開業に必要な金額
資金調達の計画を立てる前に、おおよそどのくらいの費用が必要となるのか理解することが大切です。以下で開業に必要な金額などを見ていきましょう。
開業資金は200万円~1,000万円がひとつの目安
開業する場所や規模、サービスの種類などによって異なりますが、200万円~1,000万円ほどが目安です。
たとえば、利用者宅へ訪問して介護サービスを行う訪問介護は、比較的少ない資金で開業できます。反対に通所介護(デイサービス)はサービス提供に必要な設備が必要なため、開業資金が割高になりがちです。
運転資金として2カ月~3カ月分が必要
介護障害福祉事業所の開業後は、以下のように毎月様々な項目で費用がかかります。
人件費
家賃
光熱費
通信費
車両費とガソリン代
消耗品費
リース代
たとえば、介護報酬の利用者負担分はサービス提供の翌月に、介護給付費はサービス提供の翌々月末に入金されるのが一般的です。つまり開業から2カ月間~3カ月間は報酬がないため、運転資金として2カ月~3カ月分を準備しておく必要があるでしょう。
介護障害福祉事業所の開業資金を金融機関から融資してもらう際のポイント
実際に介護障害福祉事業所を開業した方の多くは、資金調達として金融機関から融資を受けています。
金融機関から融資してもらう際には、以下のようにいくつかのポイントがあります。
融資してもらう金融機関を選定する
まずは融資してもらう金融機関を選定しましょう。開業資金の融資を受けられる金融機関として、次の3つが考えられます。
民間金融機関(都市銀行・地方銀行・信用金庫・信用組合)
日本政策金融公庫
自治体
それぞれの詳細を紹介します。
▼民間金融機関
民間金融機関は営利法人のため、採算が取れるかどうかが審査のポイントです。
都市銀行は大企業への融資がほとんどのため、小規模法人は断られる可能性が高いでしょう。また地方銀行は融資が通った場合でも、担保や金利が高く設定されるかもしれません。
信用金庫と信用組合は必ずしも営利を目的としていないため、新規創業者にも積極的に融資してもらえる可能性があります。
▼日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は政府の金融機関で、個人事業主や中小企業といった一般人の資金調達サポートを目的としています。新規事業創業者にも積極的に融資しているため、介護障害福祉事業所の開業資金調達におすすめです。
たとえば、次のような資金融資があります。
資金の種別 |
対象者 |
融資限度額 |
新規開業資金 |
・新たに事業を始める方 ・事業開始後、おおむね7年以内の方 |
7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連) |
下記のうち、女性、または35歳未満か55歳以上の方 ・新たに事業を始める方 ・事業開始後、おおむね7年以内の方 |
7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
ソーシャルビジネス支援資金 |
・NPO法人 ・NPO法人以外で、保育サービス事業や介護サービス事業、社会的課題の解決を目的とする事業などを営む方 |
7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
種別ごとの詳細は、日本政策金融公庫のホームページで公表されています。
参考:日本政策金融公庫「国民生活事業」
▼自治体
自治体によっては新規創業者向けに、独自の融資制度を設けています。
たとえば、東京都では「東京都中小企業制度融資『創業』」を設け、3,500万円まで融資しています。
利用できる融資制度がないかどうか、各自治体に問い合わせてみましょう。
参考:東京都産業労働局「東京都中小企業制度融資『創業』」
事業計画を丁寧に作成する
金融機関の融資では、基本的に事業計画の提出が求められます。
適切に作成されていなかったり、将来性がないと判断されたりすると、融資を受けられないかもしれません。そのため、融資を依頼する際は事業計画を丁寧に作成しましょう。
以下は事業計画に盛り込みたいポイントです。
事業方針・目的
競合に対する優位性
対象者にとって魅力的なサービスである理由
収支計画は現実的なものか
返済予定期間
将来性があるか
事業計画に定められたフォーマットはありません。上記のポイントを取り入れながら、見やすく、相手に伝わりやすいものを作成してください。
ある程度の自己資金を準備しておく
ある程度の自己資金を準備しておくことも欠かせません。自己資金がゼロの状態では、いずれの金融機関でもハイリスクと判断され、審査が厳しくなるためです。
自己資金が多ければ多いほど、融資を受けられる可能性が高まるでしょう。
介護障害福祉事業所開業の資金調達に役立つ助成金
開業時の経費や施設整備費用の一部を補助してくれるのが、助成金です。返済の必要がないため、該当するものはできるだけ利用するとよいでしょう。
たとえば、開業に役立つ助成金として、次のようなものがあります。
人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)(厚生労働省)
大阪狭山市創業支援補助金(大阪府狭山市)
起業創業支援事業(バウチャー)補助金(大阪府阪南市)
人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)は、介護福祉機器の導入などを通じて、離職率低下に取り組んだ場合が対象です。目標達成助成として、離職率が目標値以上に低下した際に助成金が支給されます。
申請にはそれぞれで条件などが異なるため、社会保険労務士といった専門職へ相談・依頼すると安心です。
参考:厚生労働省「人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)」
参考:大阪府狭山市「大阪狭山市創業支援補助金」
参考:大阪府阪南市「起業創業支援事業(バウチャー)補助金」
まとめ
介護障害福祉事業所の開業に向けた資金調達方法には、自己資金や友人や家族からの出資、金融機関からの融資、助成金など様々なものがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、状況に合った方法を検討しましょう。
アステージ社労士・行政書士事務所では、介護障害福祉事業所の開業に関する手続きなどをトータルサポートしています。利用できる助成金のご提案のほか、申請代行も可能です。
これから介護障害福祉事業所の開業を予定している方は、ぜひお気軽にご相談ください。
執筆者情報
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事務所名:アステージ社労士・行政書士事務所
所属等:日本行政書士会連合会/全国社会保険労務士会連合会/大阪府行政書士会/大阪府社会保険労務士会/大阪商工会議所会員
【代表メッセージ】
「介護事業開業サポートセンター」では、これから介護・福祉事業をスタートされる方および既に開業されている方の為に必要な手続きをトータルでサポートしております。
介護・福祉事業の創業を数多くお手伝いしている実績をもとに、法人設立・指定申請などの手続き、助成金や融資、開設後の運営もご相談頂ける「身近な専門家」として、常にお客様の立場に立ったサービスを心がけ、全力でお手伝いさせて頂きます。