訪問看護の開業には営業が必須!失敗しないためのコツを紹介
- 2023.10.26

大阪を中心に介護・福祉事業の起業を考えている方、すでに開業している方向けのサポートを行っている、アステージ社労士・行政書士事務所です。
訪問看護の開業には営業が必須といわれており、方法次第で利用者の獲得に大きくつながります。しかし、中には「どのように営業活動すればよいのかわからない」「できるだけ失敗を防ぎたい」などと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では訪問看護の開業には営業が必須である理由について、失敗しないためのコツなどと一緒に紹介します。
訪問看護の開業には営業活動が必須である理由
これから訪問看護を開業する場合は、営業活動が必須です。
一般社団法人全国訪問看護事業協会の「令和4年度 訪問看護ステーション数 調査結果」によると、2021年度の廃業率は約3.8%でした。また中小企業庁の「中小企業白書 小規模企業白書 2022年度版下」では2020年度の中小企業全体の廃業率が3.3%となっており、訪問看護の廃業率がいかに高いかがわかります。
廃業に至った主な理由は、次の3つです。
働く看護師を確保できない
制度改正に伴う収支悪化に対応できない
新規の利用者を獲得できず、運営できなくなる
訪問看護ステーションでは人員基準が定められており、常勤換算で2.5人以上の看護職員を、そのうち1人は常勤でなければいけません。しかし、看護業界全体で人材不足が課題となっており、数ある職場の中で訪問看護を選ぶ看護師は限られます。働く看護師をなかなか確保できず、人材採用を課題としているところは珍しくありません。
また制度改正に伴う収支悪化に対応できないのも、廃業に至る理由のひとつです。報酬改定によって得られる報酬が増減するのは当たり前のことですが、中には変化に対してうまく対応できない訪問看護事業所があります。
そして、新規の利用者を獲得できず、運営できなくなるケースも珍しくありません。「令和4年度 訪問看護ステーション数 調査結果」では、訪問看護ステーションの伸び率は10%でした。同じエリア内に競合がいると、利用者の獲得で競争が生まれます。
今後も事業所の増加によって競争が激しくなることが予想され、利用者の獲得に向けた積極的な営業活動が求められるといえるでしょう。
参考:一般社団法人全国訪問看護事業協会「令和4年度 訪問看護ステーション数 調査結果」
参考:中小企業庁「中小企業白書 小規模企業白書 2022年度版下」
訪問看護の営業に向けた事前準備
看護師といった医療従事者の多くは、現場で患者や利用者の対応をすることが多く、営業未経験者が少なくありません。
営業未経験者が効果的に営業活動を進めるためには、以下のような事前準備が必須です。
他事業所との差別化を図る
数ある訪問看護ステーションの中から選んでもらうためには、他ステーションとの差別化を図る必要があります。他のステーションにはない強みや利用するメリットを営業先へアピールすることで、利用者の獲得につながるためです。
以下は差別化の一例です。
24時間体制で対応できる
男性看護師が多く在籍している
特別なニーズや疾患に対応できる
特に夜間を含めて24時間体制で対応できることは、大きなアピールポイントとなります。緊急時にも柔軟に対応できる体制が整っている場合も、強みとして積極的にアピールするとよいでしょう。
業界全体的に女性看護師が多く働いている中で、男性看護師が多く在籍しているのも差別化につながります。
また緩和ケアや看取りケア、人工呼吸器、経管栄養といった特別なニーズ・疾患に対応できるのも大きな強みです。最近は精神科訪問看護に対応したステーションの開業が多く、治療の場が医療機関から在宅へ移行している中で、精神疾患がある利用者からのニーズの高さが伺えます。
営業ツールを作成する
言葉による説明だけでは、訪問看護ステーションの強みや利用するメリットをうまく伝えられず、また相手の印象に残りにくい傾向にあります。そのため、パンフレットやチラシといった営業ツールを事前に作成し、訪問する際に持参するのがおすすめです。
ステーションの特徴や受け入れ体制のほか、スタッフが笑っている顔写真が入った紹介文があると、より親近感を持ってもらえるでしょう。
話す内容を整理する
これまでに営業経験がないと、いざ訪問したときに何を話せばよいかがわからず、うまく営業活動を進められません。また忙しい中で時間を割いてもらった先方にも、マイナスのイメージを与えてしまう可能性が高まるでしょう。
伝えたいことを簡潔に話すためには、あらかじめ話す内容を整理しておくのがおすすめです。順番と内容をひと通り考え、実際に練習しておくと、スムーズに営業活動へ臨めます。
訪問先をリストアップする
限られた時間の中で営業効率を上げるためには、訪問先を絞っておくことが重要です。訪問先をリストアップし、さらに優先順位を決めておくとよいでしょう。
以下はおすすめの訪問先の一例です。
医療機関
居宅介護支援事業所
地域包括支援センター
病院やクリニックといった医療機関は、訪問看護の開業にあたって営業する重要な訪問先です。医師が患者に訪問看護利用の必要性を感じた際に、紹介してもらえる可能性があります。
ケアマネジャーが在籍し、利用者へケアプランを作成しているのが居宅介護支援事業所です。訪問看護の利用には医師の指示が必要ですが、具体的なステーションは利用者やその家族が選べます。中にはケアマネジャーが薦めてくれたところを選ぶケースが少なくないため、居宅介護支援事業所にも営業をするのがよいでしょう。
地域包括支援センターは、担当地域に居住している高齢者のための総合相談窓口です。要介護認定で要支援となった利用者に介護予防ケアプランを作成しており、介護保険で介護予防訪問看護を利用できます。
訪問看護の開業で失敗しないための営業のコツ
訪問看護を開業しても、利用者が集まらないと売上を確保できず、運営に失敗してしまうケースはよくあることです。
前述したように、利用者の獲得には営業が必須であり、さらに営業の効果を高めるコツがいくつかあります。
繁忙期の訪問を避ける
繁忙期に訪問すると先方から良い印象を持たれず、また余裕を持って話を聞いてもらえません。そのため、繁忙期や忙しい時間帯を避けて訪問しましょう。
医療機関は大型連休の前後に、通院や入退院の患者が増える傾向にあります。また居宅介護支援事業所は月末~月初めにかけて、請求業務などで特に忙しくなります。
要点を絞って話す
医療機関のソーシャルワーカーや居宅介護支援事業所のケアマネジャーなどは常に忙しく、話しを聞いてもらえる時間が限られています。短い時間の中で訪問看護ステーションの特徴を知ってもらうためには、要点を絞って話すことが大切です。
あらかじめ作成したパンフレットやチラシといった営業ツールをうまく活用し、できるだけ簡潔に伝えるように意識しましょう。
相手の話しをよく聞く
こちらが言いたいことを一方的に話すのではなく、相手の話をよく聞くことも重要です。利用者やその家族の話に耳を傾けるようなイメージで、訪問先の話しも丁寧に聞くと、相手に好印象を持ってもらえます。
さらに話の中で看護師としての専門的なアドバイスができると、大きな信頼につながるでしょう。
月に1回は訪問する
定期的に訪問すると自然に顔を覚えてもらえ、サービス利用のニーズが生じた際に、新しい利用者を紹介してもらいやすくなります。実際に提供するサービスの内容はもちろんのこと、営業回数が新規の利用者数に比例するといっても過言ではありません。
ただし、訪問頻度が多すぎると嫌がられる可能性があるため、月1回程度が望ましいでしょう。
まとめ
廃業率が中小企業全体と比べて高いにもかかわらず、新規のステーションが多く開業しているのが訪問看護の現状です。ライバルが多くいる中で利用者を獲得し、健全な運営を進めていくためには営業活動が欠かせません。
いくつかすべき事前準備のほか、営業には失敗しないためのコツがあります。開業前だけでなく、開業後も定期的な営業活動を続けることで、安定した新規の利用者獲得につなげられるでしょう。
アステージ社労士・行政書士事務所では、訪問看護の開業や開業後のサポートを担っております。訪問看護の開業でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。