介護・福祉事業で社労士と顧問契約を締結する必要性は?社労士に依頼するメリットや選び方
- 2024.03.19

介護・福祉事業の人事労務管理では、社会保険手続きや給与計算などの一般的な業務に加え、介護・福祉分野特有のさまざまな業務が発生します。
これらの業務を顧問社労士へ一任することで、経営者は本業に専念できるようになるほか、介護職員の処遇改善加算や法改正へ対応しやすいなど、多くのメリットが期待できます。
ただし、すべての社労士が介護保険法に精通しているわけではないため、社労士と顧問契約を締結する際には、介護や福祉に詳しい事務所を選ぶことが重要です。
この記事では、介護・福祉事業で社労士と顧問契約を締結する必要性や、社労士へ依頼できる業務内容、依頼するメリット、失敗しない選び方を解説します。
介護・福祉事業で社労士と顧問契約を結ぶ必要性
介護・福祉事業における社労士との顧問契約は、結論から言うと「必要性が高い」といえます。介護・福祉の現場では、介護福祉士や訪問介護員(ホームヘルパー)など、多岐にわたる職種の管理が求められ、労務管理が複雑とされています。
さらに、介護保険法は頻繁に改正される法律であり、介護処遇改善加算などの制度の最新情報を常に把握し、事業や労務管理に反映させる必要があります。
また、人手不足が深刻な課題となっている介護・福祉業界で人材を確保し続けるためには、職場環境の改善も求められます。
これらの背景から、介護・福祉分野の専門知識を持つ社労士と顧問契約を結ぶ必要性が高まっていると考えられます。
そもそも、社労士との顧問契約とは?
社労士(社会保険労務士)とは、企業や組織の人事労務管理に関する専門家です。顧問契約とは継続的な業務委託契約であり、一定の費用で、相談や手続きなど契約範囲内の業務を担当します。
社労士と顧問契約を結ぶと、社会保険・厚生年金・労災保険・雇用保険に関する手続きや届出書の作成・提出の代行や、労務に関する相談などができます。
顧問契約に対し、特定の手続きごとに依頼する「スポット契約」という形式もあり、毎月定額の報酬が発生しない点が異なります。
介護・福祉事業で社労士との顧問契約の必要性が高いケース
具体的に、介護・福祉事業で社労士のサポートが求められるのは、どのようなケースなのでしょうか。ここでは、社労士との顧問契約の必要性が高いとされる、下記3つのケースについて解説します。
- 開業時・従業員の雇用時
- 事業を拡大する時
- 介護・福祉業界に精通した社労士へ切り替えたい時
開業時・従業員の雇用時
介護・福祉事業を開業して従業員を雇用すると、雇用契約の締結や社会保険への加入手続きなど、社会保険や労務管理に関する業務が発生します。情報を調べながら自ら手続きを行うことも不可能ではないものの、開業時には時間を費やすべき業務が他にも多くあるものです。
開業時や従業員雇用のタイミングで社労士と顧問契約を結ぶことで、社会保険や労務管理に関する業務を専門家に任せることができます。
事業を拡大する時
人事労務に関する手続きは、会社の規模や従業員数によって異なります。事業が拡大し、従業員が増えると、就業規則の作成や社会保険の加入などの業務が煩雑になります。
事業が急成長している時や、これから事業を拡大する計画を立てている場合は、社労士との顧問契約を検討すべきタイミングといえます。
介護・福祉業界に精通した社労士へ切り替えたい時
これまでスポット的に社労士に依頼していた場合や、現状の社労士サービスに不満があり切り替えたい場合も、介護・福祉業界に精通した社労士との顧問契約を検討する必要性が高い状況といえるでしょう。
特に、「介護・福祉業界に特化していない」「業界用語や事情に疎い」「人員基準や法改正に対応していない」などの不満がある場合、適切な社労士と顧問契約を結ぶことで解決できるケースが多いです。
>社労士の切り替えや変更をお考えの方・新たに社労士顧問を検討される方向けプラン|介護事業開業サポートセンター
介護・福祉事業で顧問社労士へ依頼できる業務
介護・福祉事業で顧問社労士へ依頼できる業務として、「一般的な業務」と「介護・福祉事業に特化した業務」があります。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
一般的な業務
顧問社労士へ依頼できる一般的な業務は、以下の通りです。
- 給与計算
- 社会保険(健康保険、厚生年金など)や労働保険(労災保険、雇用保険など)の手続き代行
- 社員の採用・離職時の手続き
- 帳簿書類や就業規則などの作成サポート
- 労務管理に関するコンサルティング
一般的な業務として、給与計算や社会保険・労働保険の手続き・労働契約書の作成など、基本的な労務管理に関わるものがあげられます。
また、社労士の提供するサービスによっては、採用や就業に関わる手続きや書類の作成、労務全般のコンサルティングなども依頼可能です。
このほか、特定社会保険労務士のみが対応できる業務として、紛争解決代理業務があります。
介護・福祉事業に特化した業務
介護・福祉事業に特化した社労士の業務には、以下のような内容があります。
処遇改善加算の加算対応 |
助成金サポート |
企業型確定拠出年金のサポート |
介護保険法・介護報酬の改正への対応 |
実地指導対策 |
BCP(事業継続計画) |
人材確保のための採用対策 |
人事評価制度の作成・運用 |
就業規則の作成 |
キャリアパスの作成 |
労務トラブルの相談 |
指定申請代行・開業サポート など |
- 介護・福祉分野に精通した社労士であれば、処遇改善加算や助成金の申請サポート、介護保険法・介護報酬の改正に基づく各種手続きなど、より専門性の高い業務も依頼できます。
なかでも、実地指導対策やBCP策定のサポート、指定申請代行などは一部の社労士事務所のみが対応している業務であるため、依頼する場合は事前に対応の可否を確認しましょう。
これらすべて、アステージ社労士・行政書士事務所の「介護事業開業サポートセンター」では対応可能です。
介護・福祉事業で顧問社労士へ業務を依頼するメリット
介護・福祉事業に強い社労士と顧問契約を結ぶことで、一般的な業務のほか、介護・福祉分野の専門知識と経験を活かしたサポートも受けられます。
ここでは、介護・福祉事業で顧問社労士へ業務を依頼するメリットについて、次の9つの項目に分けて解説します。
- 社会保険や労働保険の手続きを一任することで、本業に専念できる
- 人事・労務担当スタッフを雇わなくても済むため、コスト削減が可能
- 従業員との問題を未然に防ぐことができる
- 処遇改善加算・助成金に関して相談できる
- 介護保険法改正などの最新情報を提供してもらえる
- 実地指導(運営指導)対策や監査へ備えられる
- 人材確保のための採用対策や専門的なアドバイスが受けられる
- 事業継続計画(BCP)の策定に対応できる
- 指定申請代行や開業サポートを通じて、スムーズな開業と運営が可能
社会保険や労働保険の手続きを一任することで、本業に専念できる
事業運営に直接関係しない作業に多くのリソースを費やすことは、効率的な経営を妨げる要因となります。
社会保険など煩雑な手続きと、法的な書類作成などの労務管理業務を社労士に一任することで、経営者として時間や労力を節約し、本来の事業運営に専念できるようになります。
人事・労務担当スタッフを雇わなくても済むため、コスト削減が可能
従業員数や担当者の給与などの条件によっても異なりますが、人事労務の担当者を雇用する場合よりも、社労士との顧問契約を結ぶ方が費用を抑えられる場合があります。
例えば、人事労務の担当者を雇うと、月に20万~30万円ほどの固定給与が発生しますが、社労士との顧問契約は月に数万円程度で済むケースも多いです。
さらに、社労士には給与計算などの業務を依頼することも可能です。社労士に依頼することで、従業員の教育や引き継ぎの手間も省けるため、長期的な視点でのコスト削減にもつながります。
>給与計算を外注し本業へ集中したい方へ|介護事業開業サポートセンター
従業員との問題を未然に防ぐことができる
介護・福祉事業で社労士と顧問契約を結ぶメリットとして、従業員との問題の未然防止を図れる点もあげられます。
社労士へ労働条件や雇用契約の作成、労働時間や賃金の適正な管理などを依頼することで、従業員との問題を最小限に抑えられるでしょう。
処遇改善加算・助成金に関して相談できる
介護・福祉事業に特化した社労士は、処遇改善加算や助成金などの各種制度について豊富な知識を持っており、これらの制度を活用するためのアドバイスや手続きのサポートを提供しています。
社労士に業務を依頼することで、利用可能な助成金制度を十分に活用できることも大きなメリットです。
>処遇改善加算を取得したい方へ|介護事業開業サポートセンター
介護保険法改正などの最新情報を提供してもらえる
介護・福祉業界では、介護保険法など法規制が頻繁に変化するため、その都度正確な情報を把握する必要があります。
介護・福祉事業に特化した社労士は、法改正や業界動向について情報収集を行っており、最新情報を提供してもらえる可能性が高いです。社労士事務所が実施している相談会やセミナーなどを、積極的に活用すると良いでしょう。
実地指導(運営指導)対策や監査へ備えられる
介護・福祉事業所への実地指導(運営指導)や、監査の対策サポートを提供している社労士事務所もあります。
事業が法的規制や基準に適合しているかどうかを確認し、違反や問題点を事前に修正することで、リスクを最小限に抑えることができます。
人材確保のための採用対策や専門的なアドバイスが受けられる
人手不足が深刻化する介護・福祉業界では、スタッフの確保は重要な課題の一つです。
優秀なスタッフを確保するためには、採用プロセスの見直しや処遇改善加算・各種助成金の活用、柔軟な働き方の提案などの対策が求められます。
人事労務の専門家である社労士から、人材確保のための採用対策や専門的なアドバイスが受けられる点は、経営者として心強いでしょう。
事業継続計画(BCP)の策定に対応できる
災害や緊急事態に備えた「事業継続計画(BCP)」の策定も、社労士の役割の一つです。
2024年4月より、介護サービス事業者のBCPが義務化となったため、事業のリスク分析や危機管理計画の策定を行い、事業の継続性を確保するための対策を講じる必要があります。
ただし、すべての社労士事務所がBCP策定サポートに対応しているわけではないため、対応可能な社労士事務所へ相談しましょう。
>介護事業特化の専門家が BCP策定をサポート|介護事業開業サポートセンター
指定申請代行や開業サポートを通じて、スムーズな開業と運営が可能
介護・福祉事業の開業時には、法人設立や指定申請などの煩雑な手続きがありますが、社労士はそれらの代行を行うことができます。
法的に介護保険法に基づく指定申請や届け出を代行できる士業は、社労士のみとされています。専門家のサポートを受け、規制に準拠し適切に手続きを進めることで、スムーズな開業と運営が可能になります。
介護・福祉事業での顧問社労士の失敗しない選び方
介護・福祉事業での顧問社労士選びで失敗しないためには、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 介護・福祉業界に特化した社労士を選ぶ
- 会社の規模や業務内容に適した社労士を選ぶ
- 経験豊富で信頼できる社労士に相談する
介護・福祉業界に特化した社労士を選ぶ
介護・福祉業界には特有の法規や規制が多くあるため、介護・福祉業界に精通した社労士を選ぶことが重要です。
業界のニーズや慣習を理解している社労士であれば、適切なアドバイスやサポートの提供が期待できます。
会社の規模や業務内容に適した社労士を選ぶ
企業規模や業務内容によってニーズが異なるため、自社や事業所に適した社労士を選ぶこともポイントです。
事業規模が大きい場合や複雑な業務を抱える場合は、経験豊富で多くのリソースを持つ社労士を選ぶと良いでしょう。一方で、中小規模の事業や地域に根ざした事業であれば、より専門性が高く、地域の特性を理解している社労士を選択することが望ましいです。
経験豊富で信頼できる社労士に相談する
社労士を選ぶ際には、過去の実績や顧客からの評判を確認することも大切です。
経験豊富な社労士は、事業の成長や変化に柔軟に対応し、最適なアドバイスやサポートを提供している可能性が高いためです。
社労士事務所のホームページなどで、実績や口コミを確認すると良いでしょう。
まとめ
介護・福祉事業で社労士と顧問契約を結ぶことで、人事労務管理の手間が省けることや、処遇改善加算や法改正への迅速な対応が可能になります。
顧問先として選ぶなら、アステージ社労士・行政書士事務所の「介護事業開業サポートセンター」へご相談ください。処遇改善加算や指定申請、企業型確定拠出年金のご提案など、介護・福祉業界特有のニーズに合わせた幅広いサポートを提供しております。
開業をお考えの方向けに、個別無料相談や週末・夜間の無料相談会も開催していますので、お気軽にお問い合わせください。
執筆者情報

-
事務所名:アステージ社労士・行政書士事務所
所属等:日本行政書士会連合会/全国社会保険労務士会連合会/大阪府行政書士会/大阪府社会保険労務士会/大阪商工会議所会員
【代表メッセージ】
「介護事業開業サポートセンター」では、これから介護・福祉事業をスタートされる方および既に開業されている方の為に必要な手続きをトータルでサポートしております。
介護・福祉事業の創業を数多くお手伝いしている実績をもとに、法人設立・指定申請などの手続き、助成金や融資、開設後の運営もご相談頂ける「身近な専門家」として、常にお客様の立場に立ったサービスを心がけ、全力でお手伝いさせて頂きます。