訪問看護の制度について相談できる場所はどこ?開業や運営の相談窓口を紹介
- 2023.11.29
大阪を中心に介護・福祉事業の起業を考えている方、すでに開業している方向けのサポートを行っている、アステージ社労士・行政書士事務所です。訪問看護を開業するときや事業所を運営するときは、制度や実務についての疑問が湧いてくるものです。そのため「どこに相談すればよいのかわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、訪問看護の制度について相談できる窓口の一覧を紹介します。
訪問看護制度の概要
そもそも訪問看護とはどのような制度なのでしょうか?
訪問看護は病気や障害があっても自宅で暮らし続けられるように、看護師といった医療職が訪問して、療養上の世話や診療の補助をする制度です。1992年4月1日に、在宅で寝たきりの高齢者などを対象として、老人訪問看護ステーションによる訪問看護が始まりました。
訪問看護ステーションによっては24時間の電話相談や緊急時対応ができる体制を取り、疾病の予防から看取りまでを支えています。
参考:厚生労働省「訪問看護の仕組み」
主なサービス内容
訪問看護ステーションには看護職員として、看護師や保健師、助産師(医療保険対象者に限る)、准看護師などが勤務しています。また理学療法士や作業療法士、言語聴覚士がリハビリテーションを実施する場合もあるでしょう。
以下は、看護職員が提供しているサービスの一例です。
・血圧・体温・脈拍などのチェック
・点滴や注射などの医療処置
・食事・排泄・入浴などの介助
・医療機器や服薬の管理
・褥瘡(床ずれ)防止のケアや指導
・ターミナルケア
それぞれの主治医と連携しながら、利用者の心身状態に合わせたケアをします。また必要に応じて他のサービスや支援機関へ連絡したり、つないだりするのも、訪問看護の大きな役割です。
医療保険と介護保険における違い
訪問看護の制度は医療保険と介護保険、それぞれで規定されています。それぞれの主な違いは、以下の表の通りです。
|
医療保険 |
介護保険 |
対象者 |
40歳未満の方 40歳以上で要介護認定を受けていない方 |
40歳以上で要介護認定を受けている方 |
訪問可能回数 |
原則として週3日以内 |
回数制限なし(限度基準額内) |
支給限度額 |
なし |
あり |
介護保険が適用できる場合は、介護保険が優先です。しかし、40歳以上で要介護認定を受けていても以下の要件に該当する場合は、医療保険での利用となります。
・特別訪問看護指示書が出されている
・精神科訪問看護指示書が出されている
・厚生労働省が定める別表7疾病に該当する
厚生労働省が定める別表7疾病には、末期の悪性腫瘍や進行性筋ジストロフィー病など、全部で20疾病が規定されています。
参考:厚生労働省「訪問看護(参考資料)」
将来性
内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、2022年10月1日時点での高齢化率は29%でした。2030年には30.8%、2040年には34.8%にまで上昇すると予測され、訪問看護を必要とする高齢者の数がさらに多くなると思われます。
また精神科分野においては、入院医療から在宅医療へ変化が進んできており、精神疾患を抱える患者からのニーズ増加も推測されるでしょう。
参考:内閣府「令和5年版高齢社会白書」
訪問看護の廃業率は決して低くない
一般社団法人全国訪問看護事業協会の「令和4年度 訪問看護ステーション数 調査結果」では、2021年度における訪問看護ステーションの廃業率は約3.8%でした。また中小企業庁の「中小企業白書 小規模企業白書 2022年度版下」によると、2020年度の中小企業全体の廃業率は3.3%となっています。
訪問看護に対するニーズは増加しているにもかかわらず、廃業率は一般企業と比べても決して低くはないことがわかります。「訪問看護の開業は失敗しやすい?潰れる理由や廃業率、失敗しないための対策」では、訪問看護の開業にあたった失敗例や対策を解説しているため、ぜひご覧ください。
他ステーションとの競争率が激しくなる中で開業・運営をうまく進めていくためには、疑問点や不安なことを相談できる窓口を利用すると安心です。
参考:一般社団法人全国訪問看護事業協会「令和4年度 訪問看護ステーション数 調査結果」
参考:中小企業庁「中小企業白書 小規模企業白書 2022年度版下」
訪問看護の制度(開業・運営)について相談できる場所はどこ?主な窓口一覧
訪問看護の制度(開業・運営)に関する、わからないことを相談できる機関はいくつかあります。以下で主な相談窓口を見ていきましょう。
公益財団法人日本訪問看護財団
公益財団法人日本訪問看護財団は、訪問看護といった在宅ケアの事業に関する人材育成・事業運営支援・調査研究などを担っています。
「訪問看護ステーション開設・運営ナビゲーター」にて開業や開業後の運営などについて相談できるため、上手に活用するとよいでしょう。
【相談対応日】
毎週月曜日・金曜日の9:00~16:00
【連絡先】
TEL:03-5778-7007(電話がつながらない場合は、専用フォームから連絡)
一般社団法人全国訪問看護事業協会
訪問看護事業に関する全国的な情報拠点として、普及活動や広報活動などを行っているのが、一般社団法人全国訪問看護事業協会です。
開業後の運営に関する実務相談のほか、精神科コンサルテーションにも対応しています。
【相談対応日】
毎週水曜日の13:00~17:00
【連絡先】
TEL:03-3351-5898(実務相談はWEBフォームより連絡)
URL:https://www.zenhokan.or.jp/
訪問看護総合支援センター
訪問看護総合支援センターは地域の訪問看護に関する課題を解決し、取り組みを推進する拠点として、2019年度より設置がスタートしました。2021年時点では、23都道府県に設置されています。
相談対応日や連絡先は各センターで異なるため、各自でご確認ください。
訪問看護ステーション協会
各都道府県の訪問看護ステーション協会では、それぞれの都道府県内にあるステーションからの実務相談を受けています。大阪府訪問看護ステーション協会では、各地域の教育ステーションがコンサルテーションや研修などを行っています。
相談対応日や連絡先は各協会で異なるため、各自でご確認ください。
【大阪府訪問看護ステーション協会の連絡先】
TEL:06-6767-3800
地方厚生局
地方厚生局は厚生労働省の地方支分部局で、医療保険が適用される訪問看護に関する制度上の質問に応じている機関です。本局・支局に指導監査課、本局・支局のない都府県には事務所が設置されています。
各都道府県の問い合わせ先は、こちらをご覧ください。
【指導監査課(大阪)の連絡先】
TEL:06-4791-7316
URL:https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/gyomu/bu_ka/shido_kansa/index.html
都道府県や市区町村の介護保険担当課
都道府県や市区町村の介護保険担当課では、介護保険が適用される訪問看護に関する制度上の質問に応じています。
各都道府県の問い合わせ先は、こちらからご確認ください。
【大阪府福祉部高齢介護室介護支援室の連絡先】
TEL:06-6947-3678
URL:https://www.pref.osaka.lg.jp/kaigoshien/
社会保険労務士や税理士
社会保険労務士事務所や税理士事務所の中には、訪問看護の開業・運営・管理をサポートしているところが少なくありません。
特に開業にあたっては法人格の設立や人材採用、各種書類の作成など、やるべきことが多岐に渡ります。スムーズに開業し、運営を軌道に乗せるためには、専門家の力を活用するのが安心です。
アステージ社労士・行政書士事務所では訪問看護の開業や運営をサポートするほか、提携している複数の税理士事務所の紹介も可能です。
【アステージ社労士・行政書士事務所の受付時間】
9:00~19:00(土日祝日も対応)
【アステージ社労士・行政書士事務所の連絡先】
TEL:06-6809-6402
まとめ
訪問看護に対する需要は大きくなる一方で、競争激化や人材不足などから、廃業に至るステーション数は決して少なくありません。
制度を含む開業や運営に必要なことを相談できる窓口はいくつかあるため、上手に活用しましょう。専門家のアドバイスやサポートを受けることで、安心して開業や運営を進めていけます。
アステージ社労士・行政書士事務所では「開業応援パック」を提供し、訪問看護の開業や開業後のサポートを担っております。どうぞお気軽にご相談ください。
執筆者情報
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事務所名:アステージ社労士・行政書士事務所
所属等:日本行政書士会連合会/全国社会保険労務士会連合会/大阪府行政書士会/大阪府社会保険労務士会/大阪商工会議所会員
【代表メッセージ】
「介護事業開業サポートセンター」では、これから介護・福祉事業をスタートされる方および既に開業されている方の為に必要な手続きをトータルでサポートしております。
介護・福祉事業の創業を数多くお手伝いしている実績をもとに、法人設立・指定申請などの手続き、助成金や融資、開設後の運営もご相談頂ける「身近な専門家」として、常にお客様の立場に立ったサービスを心がけ、全力でお手伝いさせて頂きます。