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訪問介護で行うべき実地指導(運営指導)対策とは?対策が必要な理由やポイントを解説

2024.02.16
訪問介護で行うべき実地指導(運営指導)対策とは?対策が必要な理由やポイントを解説

訪問介護の事業所は、介護保険法に基づき、指定権者(都道府県または市)による定期的な実地指導を受けることになっています。

実地指導の際に介護保険法や指定基準に違反が見つかった場合、監査が行われ、行政処分や受領した介護報酬の返還が求められる可能性があるため、適切な対策が必要です。

この記事では、訪問介護事業所の経営者や管理者向けに、実地指導の対策やその重要性、対策のポイントについて解説します。

訪問介護の実地指導(運営指導)とは

訪問介護の実地指導(運営指導)とは、指定権者(都道府県または市)が訪問介護事業所を定期的に訪れ、介護サービスの品質と保険給付の妥当性を確認するものです。

実地指導の目的は、介護保険法の趣旨である利用者の「尊厳の保持」と「自立した日常生活の支援」を実現するために、介護事業所が質の高いサービスを提供できるよう行政機関が支援を行うことです。

なお、実地指導は2022年より「運営指導」という名称に変更されました。

運営指導の結果、指摘があった場合には、指摘事項の程度に応じて「助言」「口頭指導」「文書指導」などの指導が行われるため、適切な対策が必要です。

関連記事:訪問介護の運営基準とは?概要や基準を満たすための対策を解説

監査との違い

介護保険制度で定められている「指導監督」には、「実地指導(運営指導)」と「集団指導」を含む「指導」のほか、事業者の指定基準の違反が疑われた場合に実施される「監査」があります。

実地指導と監査との違いは、指導は介護サービス事業者の発展を促進する目的で行われるのに対し、監査は指定基準の違反の疑いがあり「実地検査」が必要とされる場合に実施される点です。

監査は、以下のような項目に該当した場合に実施されます。

  • 人員・設備・運営基準に著しい違反があるか疑われる場合
  • 介護報酬請求において不正があるか疑われる場合
  • 不正手段による指定等があるか疑われる場合
  • 高齢者虐待等があるか疑われる場合

監査の結果、不正行為や違反が確認されると、改善報告・改善勧告・改善命令・指定の効力停止・指定の取り消しなどの行政処分が行われます。

訪問介護で実地指導対策が重要な理由

実地指導対策とは、訪問介護事業所が実地指導で指摘される項目を事前に把握し、運営体制や報酬請求において不正がないように予防的な対策を講じることです。

実地指導への対策が不足すると、現場での指導や改善勧告、事業所指定の効力の停止・指定取消しの恐れがあるため、慎重に対策を行うことが望ましいでしょう。

具体的には、介護報酬における加算金改善勧告・改善命令に従わずに運営した場合、介護保険法の第七十七条に基づき、「指定の効力の停止・指定取消し」の措置が取られます。これは、介護事業所にとってもっとも重い処分であり、指定がなくなると介護保険法上の介護事業を運営できなくなります。再開したい場合には、都道府県知事に対して再指定の申請が必要です。

また、介護報酬の請求ミスや不正行為により報酬を受け取った場合、その給付の全部または一部の返還が求められる可能性もあります

訪問介護の実地指導の内容

訪問介護の実地指導の内容は、大きく次の4つに分けられます。

  1. 介護サービスの実施状況指導
  2. 最低基準等運営体制指導
  3. 報酬請求指導
  4. 各指導の実施方法等

一つずつ解説します。

1. 介護サービスの実施状況指導

介護サービスの実施状況指導とは、主に利用者に対するサービスの質を確認するために行われる「運営指導」の一環です。

この指導は、ケアマネジメントのプロセスに基づくサービスの実施確認に加え、訪問介護サービスにおける利用者の生活実態を視察し、関係者から状況を聴取することで、サービスの適正性や高齢者虐待、身体的拘束の発見と防止につなげることを目的としています。

また、訪問介護事業所で保管している利用者に関する文書について、現地での閲覧と内容の確認が行われる際には、個人情報保護の観点からも適切な取扱いが必要です。

2. 最低基準等運営体制指導

最低基準等運営体制指導は、各サービスの基準に基づく運営体制を確認するための指導です。

この指導も、確認項目と文書に基づき実地での確認が基本です。ただし、先述の介護サービス実施状況指導とは異なり、一部または全部の確認項目や文書が現場へ行かずに確認可能な場合は、オンライン会議システムなどを利用して実地以外の方法で指導が行われるケースもあります。

3. 報酬請求指導

報酬請求指導は、介護保険給付に基づく事務処理が適正に行われ、要件に適合した加算によるサービスを提供できているかを確認する指導です。不正請求の防止と、制度管理の適正化を目指す目的で実施されます。

具体的な確認内容は、介護保険施設等が届出で行う各種加算に関する算定と、請求状況の確認などです。

加算報酬の請求については、算定要件が満たされていても取扱いが不十分な場合、改善指導が行われる場合もあります。

報酬請求指導も基本的には実地での確認が想定されますが、状況に応じてオンライン会議システムでの実施にも対応しています。

4. 各指導の実施方法等

1から3までの各指導は、通常は同時に実施されることを前提としていますが、指導事務の効率化や効果、緊急性などを考慮し、それぞれ異なる時期に実施することも可能です。

例えば、感染症などの理由で実地調査が難しい場合は、実地が必要な1の指導を次年度以降に延期し、2や3については事業所での自己点検にとどめ、オンライン会議システムなど実地以外の手段を活用して指導を行う方法も検討されます。

訪問介護の実地指導における標準確認項目

訪問介護の実地指導で確認される項目は、厚生労働省発行の「確認項目及び確認文書」にて、「標準確認項目」として提示されています。

標準確認項目は、大きく次の2つの事項に区分されているため、それぞれ確認しておきましょう。

  • 個別サービスの質に関する事項
  • 個別サービスの質を確保するための体制に関する事項

個別サービスの質に関する事項

個別サービスの質に関する事項では、運営に関する項目の確認が行われます。

【運営】

  • 内容及び手続の説明及び同意(第八条)
  • 心身の状況等の把握(第十三条)
  • 居宅介護支援事業者等との連携(第十四条)
  • 居宅サービス計画に沿ったサービスの提供(第十六条)
  • サービス提供の記録(第十九条)
  • 訪問介護計画の作成(第二十四条)

個別サービスの質に関する事項の確認を通じて、訪問介護事業所の運営が利用者を中心に、かつ適切に行われているかを確認することを目的としています。

個別サービスの質を確保するための体制に関する事項

個別サービスの質を確保するための体制に関する事項では、人員と運営の側面から検証が行われます。

【人員】

  • 訪問介護員等の員数(第五条)
  • 管理者(第六条)

【運営】

  • 受給資格等の確認(第十一条)
  • 利用料等の受領(第二十条)
  • 緊急時等の対応(第二十七条)
  • 運営規程(第二十九条)
  • 勤務体制の確保等(第三十条)
  • 業務継続計画の策定等(第三十条の二)
  • 衛生管理等(第三十一条)
  • 秘密保持等(第三十三条)
  • 広告(第三十四条)
  • 苦情処理(第三十六条)
  • 事故発生時の対応(第三十七条)
  • 虐待の防止(第三十七条の二)

対象の訪問介護事業所が、十分な人員と適切な運営体制を有しているかについて確認されます。また、受給資格の確認や料金の透明性など、事業所の運営が法令や指針に沿ったものであるかも審査されます。

訪問介護の実地指導対策のポイント

訪問介護事業所が実地指導を受ける際には、具体的な対策ポイントを十分に考慮し、事前に準備しておくことが重要です。

  • 事前に必要書類を準備する
  • 自己点検票を活用する
  • 処遇改善加算などを取得している場合は特に注意が必要
  • 介護・福祉事業の実地指導対策に強い社労士事務所へ相談する

一つずつ見ていきましょう。

事前に必要書類を準備する

訪問介護実地指導では、さまざまな書類や資料の提出が求められます。法令遵守や適切なサービス提供の実施を示すためにも、必要な書類を整備しておくことが不可欠です。

実地指導における必要書類として、以下のものがあげられます。

重要事項説明書

利用契約書

サービス担当者会議の記録

居宅サービス計画

サービス提供記録

訪問介護計画

アセスメントシート

モニタリングシート

勤務実績表/タイムカード

資格証書

管理者の雇用形態が分かる文書

請求書

領収書

緊急時対応マニュアル

運営規程

雇用形態が分かる文書

研修計画、実施記録

方針、相談記録

業務継続計画

感染症及び食中毒の予防指針

個人情報同意書

秘密保持誓約書

パンフレット/チラシ

苦情の受付簿

苦情者への対応記録

苦情対応マニュアル

事故対応マニュアル

報告記録

再発防止策の検討の記録

ヒヤリハットの記録

虐待防止委員会の開催記録

虐待の発生、再発防止の指針

虐待防止の研修計画、実施記録

担当者の設置を示す文書

これらの書類は、運営指導通知に基づき事前に用意する必要があります。

また、事業所では少なくとも2年間にわたりこれらの書類を保管・整備することが求められるため、訪問介護計画やサービス提供の記録、従業員の資格証明書など、指導対象となる項目に関連する文書類を整理し、いつでも提出可能な状態にしておきましょう。地域の条例によっては、5年間の文書保存を求めているところもあります。

自己点検票でチェックする

自己点検票とは、事業所自らが内部の点検や確認を行う際に用いる点検シートです。自己点検票には詳細な点検項目が記載されているため、不備や改善点などを正確に把握し、サービスの向上に役立てることができます

自己点検票は運営指導の前に提出する必要がありますが、自治体によって提出期限が異なるため、窓口や公式ホームページなどで期限を確認し、期限内に提出するよう心がけましょう。

処遇改善加算などを取得している場合は特に注意が必要

訪問介護事業所で処遇改善加算などの特例を取得している場合、実地指導の際にも条件や適用について確認が行われるため、注意が必要です。

指導対象となる項目において、処遇改善加算が影響する可能性もあるため、取得している処遇改善加算などについて事前に確認し、正確な情報を提供できるよう対策しましょう

具体的には、次のような要件を確認しておくと良いでしょう。

【介護処遇改善加算を算定している場合の確認ポイント】

  • キャリアパス要件
  • 職場環境等要因
  • 入職促進に向けた取り組み
  • 資質の向上やキャリアアップに向けた支援
  • 両立支援・多様な働き方の推進
  • 生産性向上のための業務改善の取り組み
  • やりがい・働きがいの醸成

介護・福祉事業の処遇改善加算については、こちらもあわせてご覧ください。

関連記事:処遇改善加算

処遇改善加算を取得したい方へ|介護事業開業サポートセンター

介護・福祉事業の実地指導対策に強い社労士事務所へ相談する

訪問介護の実地指導対策に不安がある場合は、介護・福祉分野に特化した社会保険労務士事務所へ相談することもおすすめです。

事前の相談やアドバイスを受け、事業所全体の体制を整えるための適切な対策を講じることで、実地指導を円滑に進め、法令遵守につながるでしょう

アステージ社労士・行政書士事務所の「介護事業開業サポートセンター」は、新規事業者から既存事業者まで、幅広い範囲で介護事業の立ち上げや運営をサポートする介護福祉に特化した事務所です。初めての方には無料相談・無料面談も用意しています。

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まとめ

訪問介護の実地指導(運営指導)は、都道府県や市の担当者が事業所を定期的に訪れ、サービス品質と保険給付の適正性を確認するプロセスです。

実地指導において法令違反が見つかった場合、監査が実施され、効力に影響が出る行政処分や介護報酬の返還が求められる恐れもあるため、適切な対策が求められます。

対策として、訪問介護の実地指導の内容や標準確認項目、対策ポイントを把握し、実地指導に備えましょう。

実地指導に不安がある場合は、介護・福祉事業の実地指導対策に強い社労士事務所への相談も検討すると良いでしょう。

アステージ社労士・行政書士事務所の「介護事業開業サポートセンター」では、豊富な経験と専門知識を持つスタッフが、訪問介護の実地指導対策をサポートいたします

実地指導に備え、安心して事業を展開するためにも、ぜひお気軽にご相談ください。

執筆者情報

佐藤壱磨
佐藤壱磨
事務所名:アステージ社労士・行政書士事務所
所属等:日本行政書士会連合会/全国社会保険労務士会連合会/大阪府行政書士会/大阪府社会保険労務士会/大阪商工会議所会員
【代表メッセージ】
「介護事業開業サポートセンター」では、これから介護・福祉事業をスタートされる方および既に開業されている方の為に必要な手続きをトータルでサポートしております。
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