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訪問看護の常勤換算とは?立ち上げに必要な人員や常勤換算の計算方法を解説

2023.08.29
訪問看護の常勤換算とは?立ち上げに必要な人員や常勤換算の計算方法を解説

訪問看護の開業時には、「常勤換算による看護職員数2.5人以上」などの人員基準を満たす必要があります。訪問看護で常勤換算の人員基準に違反すると、処分や指導の対象になることもあるため、注意が必要です。

この記事では、訪問看護の常勤換算の概要や立ち上げに必要な人員と、常勤換算の計算方法、違反した場合の処分、常勤換算の条件を満たすための対策について解説します。

訪問看護の常勤換算とは

訪問看護ステーションを開設または運営する場合、医療や介護の質を保つためのスタッフを確保する基準である「人員基準」を満たさなければなりません。

人員基準の計算方法として用いられるのが「常勤換算」です。労働時間が異なるスタッフを同じ1人として扱うと、基準を下回る可能性があることから、実際の従業員の平均を示すために用いられている計算方法です。

全国の訪問看護の従事者数(常勤換算)の推移

厚生労働省が公開している在宅医療の資料内の「訪問看護ステーションの従事者数の推移」を見ると、訪問看護ステーションの1事業所当たりの従事者数(常勤換算)は6.7人で、その中で看護職員は4.9人となっています。

従事者数全体の数は、平成13年時点の4.5人から1.5倍増加しています。看護職員の数は大きな変化がなく、保健師・助産師・准看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの割合が増加しています。

出典:在宅医療(その4)

訪問看護の常勤換算の計算方法(常勤換算方法)

訪問看護の常勤換算の計算方法は、常勤職員を1名としてカウントし、非常勤職員は勤務時間数を常勤職員の所定労働時間で割った数で計算されます。

常勤職員とは、雇用形態に関係なく「正社員が勤務すべき時間に達している」ことを指します。

通常1か月(4週間)を基準とし、非常勤職員の総勤務時間を用いて、常勤職員が何人分に相当するかを計算します。

2 常勤換算方法

(1) 従業者の勤務延時間数を,当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(週32時間を下回る場合は週32時間を基本とする。)で除することにより計算する方法です。

引用:常勤・非常勤及び常勤換算方法について

例えば、常勤職員の所定労働時間が週に40時間の場合、週に20時間(1日4時間、週5日勤務)の非常勤職員は、「0.5名」として数えられます。

【計算例:1か月の所定勤務時間が160時間の場合】

非常勤職員Aさん(1か月128時間勤務)と、非常勤職員Bさん(1か月96時間勤務)を常勤換算で示すと、「(128 + 96) ÷ 160 = 1.4名」となります。

厚生労働省発行の常勤換算表(エクセル形式)

厚生労働省では、非常勤職員の常勤換算を行うための入力補助シート(エクセル形式)を配布しています。

厚生労働省発行の常勤換算表

引用:常勤換算計算シート|厚生労働省

使い方は、「医療機関において常勤の従事者が勤務すべき1週間の時間数(所定労働時間)」の項目に時間数を入力し、常勤の人数を入力します。

非常勤の勤務時間を一覧表へ入力すると、ページ下部に常勤換算方法による数値が表示されます。

▼常勤換算計算シート(※注意※下記をクリックすると自動でダウンロードが開始します)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/oshirase/dl/140627_4_1.xls

訪問看護の立ち上げに必要な人員

訪問看護の立ち上げに必要な人員について、訪問看護ステーション・みなし指定・サテライト事業所のそれぞれを確認していきましょう。

訪問看護ステーションの場合

訪問看護ステーションの人員基準は、次の通りです。

  • 保健師・看護師・准看護師のいずれかを2.5名以上配置(常勤換算方法にて計算)
  • 上記の保健師・看護師・准看護師のうち1名は常勤であること
  • 保健師または看護師である管理者を1名配置すること
  • 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれかを適切な人数配置すること

ここでの管理者は、必要に応じて他の職務にも従事できますが、適切な知識と技能を持つことが求められます。

病院・診療所が運営する「みなし指定」の場合

「みなし指定」とは、健康保険法で指定された病院・診療所・薬局などが、介護保険法においても医療関連のサービスを提供する事業者として認められる制度です。

みなし指定の訪問看護では人員配置基準が定められておらず、病院や診療所が自由に選べます。ただし、看護職員以外によるサービス提供は許可されていません

サテライト事業所の場合

訪問看護ステーションのサテライト事業所は、利用者の自宅に近い場所から訪問看護サービスを提供し、待機・道具の保管・着替えなどを行う出張所です。

サテライト事業所の人員基準の詳細は都道府県などの所轄官庁によって規定されており、主たる事業所とそのサテライト全体で、保健師・看護師・准看護師のいずれかを2.5名以上配置する必要があります

そもそも、訪問看護の立ち上げ時には4つの要件がある

訪問看護の開業時には、人員基準を含む次の4つの要件を満たした上で、介護保険法に基づく事業者指定を管轄官庁から受ける必要があります。

  • 法人格を取得すること
  • 人員基準を満たすこと
  • 設備基準を満たすこと
  • 運営基準を満たすこと

訪問看護立ち上げの基礎的な内容となりますので、ご存知の方も再確認してみてください。

要件① 法人格を取得すること

訪問看護ステーションを設立するには、株式会社・合同会社・NPO法人・社会福祉法人・医療法人などの法人格の取得が必須条件となります。

法人格取得の際には、訪問看護事業を行う旨を法人の設立文書に記載する必要があり、既存の会社であれば、事業目的に「実施事業」が明記されていなければなりません。もし記載がない場合は、事業目的の変更手続きが必要です。

訪問看護・介護事業の会社設立手続きについてはこちらもあわせてご覧ください。

介護事業の会社設立

要件② 人員基準を満たすこと

国は、医療や介護の質を保つ目的で、事業所の規模やサービス内容に基づいた人員配置基準を設定しています。

訪問看護ステーションを開業するための人員基準は、前章に記載の通りです。

要件③ 設備基準を満たすこと

訪問看護ステーションの立ち上げの要件として、次の設備基準が設けられています。

  • 事務室:広さに厳格な規定はないものの、備品を収容できる十分なスペースが求められます。自宅兼事務室の場合は、プライベート部分を区分けする必要があります。
  • 相談室:相談者のプライバシー保護が重要です。個室が望ましいですが、パーテーションで仕切る形でもかまいません。
  • 会議室:指定サービスの会議や相談に使える多目的な部屋を用意する必要があります。相談室と兼用も可能です。
  • 訪問看護事業に必要な設備・備品:事務機器・鍵付き棚・洗面所など、感染症予防に必要な衛生設備が含まれます。

要件④ 運営基準を満たすこと

訪問看護ステーションの立ち上げでは、人員と設備の確保に加え、運営体制を確立することが重要です。そのため、次のような運営基準も設けられています。

  • 内容及び手続きの説明及び同意
  • 提供拒否の禁止
  • 提供困難時の対応
  • 受給資格等の確認
  • 心身の状況等の把握
  • 保健医療サービス及び福祉サービス提供者との連携
  • 身分を証する書類の携行
  • 指定訪問看護の基本取扱方針及び具体的取扱方針
  • 訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成
  • 利用者に関する全国健康保険協会、後期高齢者医療広域連合又は健康保険組合への通知
  • 管理者の責務
  • 運営規程
  • 事故発生時の対応
  • 記録の整備
  • 事業報告 など

 出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 | e-Gov法令検索

訪問看護で常勤換算の人員基準に違反した場合の処分

訪問看護の人員基準では、介護保険サービスの提供に最低限必要な要件を規定しています。常勤換算で算出された人員基準に違反した場合、営業が許可されない可能性があります

また、人員基準の違反を隠蔽して営業を続けると、報酬の返還や指定取り消しの処分を受ける恐れもあります

厚生労働省の通知には、基準違反に関する詳細が記載されています。

「指定居宅サービスの事業を行う者又は行おうとする者が満たすべき基準等を満たさない場合には、指定居宅サービスの指定又は更新は受けられず、また、運営開始後、基準に違反することが明らかになった場合には、①相当の期間を定めて基準を遵守するよう勧告を行い、②相当の期間内に勧告に従わなかったときは、事業者名、勧告に至った経緯、当該勧告に対する対応等を公表し、③正当な理由が無く、当該勧告に係る措置を採らなかったときは、相当の期限を定めて当該勧告に係る措置を採るよう命令することができるものであること。」以下略

引用:指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について|厚生労働省

訪問看護で常勤換算の条件を満たすための対策

訪問看護で常勤換算の人員基準に違反すると、処分や指導の対象になることもあるため、次のような対策を講じると良いでしょう。

人員が不足している場合は、人材採用に充分な時間を割く

訪問看護の分野では、常態的な看護師不足が問題視されています。日本医師会総合政策研究機構の調査では、運営上の課題のうちもっとも多いのは「看護職員の不足」という結果も出ています。

求人募集を行っても応募者が不足する可能性もあるため、人材採用に重点的に時間を割り当てることが対策となります

出典:「在宅医療の提供と連携に関する実態調査」訪問看護ステーション調査 | 日本医師会総合政策研究機構

離職防止のために職場環境の改善に努める

訪問看護で常勤換算の条件を満たすためには、離職防止のために職場環境の改善に努めることも大切です

令和3年度介護労働実態調査によると、訪問看護師の前職離職理由として「職場の人間関係(18.8%)」と「結婚・出産・妊娠・育児のため(16.9%)」をあげた方が多く見られました。

離職防止の取り組みの例は、競合他社の待遇や福利厚生を参考に、就業規則や給与規程の改善を行うことや、未経験の職員のために研修プログラムを充実させるなどです。

出典:令和3年度「介護労働実態調査」結果の概要について|公益財団法人 介護労働安定センター

訪問看護関連の人員基準(常勤換算)の緩和について

厚生労働省発表の資料によると、離島などのサービス確保が難しい地域を対象に、「市区町村が必要と認めれば、通常の基準に合わなくても訪問看護の運営を認める」といった旨の緩和措置の特例が設けられてることがわかります。

具体的には、離島振興対策実施地域・豪雪地帯・過疎地域などの、人口密度が希薄で交通が不便な中山間地域にて、常勤2.5名の人員基準を緩和できるケースがあります

出典:訪問看護ステーションにおける人員基準に関する地方分権改革提案について|厚生労働省

まとめ

訪問看護の常勤換算とは、常勤の職員を「1名」とした場合に、非常勤の職員などが何人分の常勤に相当するかを計算する方法です。

訪問看護ステーションの人員基準の一つとして、「保健師・看護師・准看護師のいずれかを常勤換算で2.5名以上配置する」という決まりがあります。

訪問看護で常勤換算の人員基準に違反すると、処分や指導の対象になることもあるため、注意のうえ対策を講じましょう。

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執筆者情報

佐藤壱磨
佐藤壱磨
事務所名:アステージ社労士・行政書士事務所
所属等:日本行政書士会連合会/全国社会保険労務士会連合会/大阪府行政書士会/大阪府社会保険労務士会/大阪商工会議所会員
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