訪問看護の稼働率を計算しよう!平均売上や稼働率アップの方法も紹介
- 2024.06.15
大阪を中心に介護・福祉事業の起業を考えている方、すでに開業している方向けのサポートを行っている、アステージ社労士・行政書士事務所です。
訪問看護ステーションを運営する上で知っておきたいのが、稼働率です。しかし、特に訪問看護を始めたばかりの方の中には「稼働率って、そもそも何だろう?」と疑問に思っている方がいらっしゃるかもしれません。
本記事では訪問看護の稼働率について、計算方法や平均売上・稼働率アップの方法と一緒に紹介します。
訪問看護の稼働率は売上アップに欠かせない指標
訪問看護の稼働率とは「スタッフが勤務時間内で、どのくらいサービス提供できたか」を示す数値のことです。
訪問看護では利用者への直接的なサービス提供が売上に直接つながり、反対に、移動時間や事務作業の時間、会議への参加時間などは売上に直結しません。稼働率は売上アップに欠かせない指標のひとつのため、内容をよく理解しておく必要があります。
売上をアップさせるためには、稼働率アップが欠かせません。
訪問看護における稼働率の計算方法
訪問看護における稼働率は「1カ月のサービス提供時間数÷看護師等の1カ月の勤務延時間数」で計算できます。
たとえば、1カ月160時間働いている看護師が、1カ月で80時間のサービスを提供した場合は「160÷80=50」で、稼働率は50%です。
訪問看護ステーションを安定的に運営するためには、60%以上の稼働率を目指しましょう。
訪問看護における全国平均の売上
厚生労働省の「令和4年度介護事業経営概況調査結果」によると、令和3年度決算で、訪問看護の平均売上は月間300万7,000円。訪問1回あたりの収入は8,041円でした(新型コロナウイルス感染症関連の補助金収入を含む)。
また看護職員(常勤換算)1人あたり訪問回数の全国平均は、1カ月あたり78.5回となっています。
参考:厚生労働省「令和4年度介護事業経営概況調査結果」
訪問看護の稼働率をアップさせる主な方法
厚生労働省の「令和2年度介護事業経営実態調査」によると、訪問看護における訪問回数と収支差率の関係は以下のとおりです。
訪問回数 |
収支差率 |
~100回 |
1% |
101回~200回 |
2.3% |
201回~300回 |
2.3% |
301回~400回 |
3.9% |
401回~ |
5.5% |
訪問回数が多くなればなるほど、収支差率も増えていくことがわかります。つまり、売上を上げるためには、訪問回数(稼働率)をアップさせることが欠かせません。
以下で、稼働率アップに役立つ主な方法を見ていきましょう。
参考:厚生労働省「令和2年度介護事業経営実態調査」
事務作業や移動時間の効率化
事務作業や移動時間はサービス提供ではないため、売上にはつながりません。売上につながらない時間を効率化させることで、訪問可能件数を増やし、稼働率がアップします。
事務作業を効率化するためには、記録ソフトとタブレット端末を導入し、記録の入力時間を短縮するのがおすすめです。訪問先へタブレット端末を持って行くと、その場で記録を入力できます。
また管理者や看護スタッフが給与の計算や社会保険の手続きなどを行っている場合は、社会保険労務士へ作業をアウトソーシングする方法もあるでしょう。事務作業に費やしていた時間を、サービス提供に充てられるようになります。
そして、移動時間を短縮するためには、訪問ルートが最適かどうかを見直してみましょう。また訪問先とスケジュールを調整し、できるだけ空き時間が生じないようにすることも有効です。
新規利用者を増やす
いくら事務作業や移動時間を効率化させても、そもそも利用者の数が少ないと、稼働率はアップしません。新規利用者を増やすためには、空き時間を使って営業活動するのがおすすめです。
居宅介護支援事業所のケアマネジャーや病院のソーシャルワーカーなどを定期的に訪問すると、顔を覚えてもらい、新規利用者の紹介につながります。またすでにサービスを使っている利用者の様子をこまめに報告したり、地域の事例検討会へ参加したりすると、信頼関係を築けます。
まとめ
訪問看護の稼働率とは「スタッフが勤務時間内で、どのくらいサービス提供できたか」を示す数値のことで、売上アップに欠かせない指標です。「1カ月のサービス提供時間数÷看護師等の1カ月の勤務延時間数」を用いて簡単に計算できるため、まずは現在の稼働率を出してみましょう。
稼働率をアップさせるためには、いくつかの方法があります。事務作業や移動時間の効率化、新規の利用者獲得など、それぞれの状況に合わせて、対策を講じていくことが大切です。
アステージ社労士・行政書士事務所では、給与計算や社会保険の手続き、訪問看護ステーションに関する労務相談などを行っています。どうぞ気軽にご相談ください。
執筆者情報
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事務所名:アステージ社労士・行政書士事務所
所属等:日本行政書士会連合会/全国社会保険労務士会連合会/大阪府行政書士会/大阪府社会保険労務士会/大阪商工会議所会員
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「介護事業開業サポートセンター」では、これから介護・福祉事業をスタートされる方および既に開業されている方の為に必要な手続きをトータルでサポートしております。
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